#2


今日も今日とて重い足取りで生徒会執務室に向かう。俺の手には会長の承認が必要な書類が山ほど。仲島と顔を合わせるのが苦痛で苦痛で溜めに溜めこんだ末に、隠してたはずのそれが風紀副委員長の真中の目に入ってしまい、 鬼かってくらい説教され、しぶしぶ・・ほんとマジでしぶしぶ、重い腰をようやく上げ執務室に向かっている。



「あ〜嫌だ。」
俺の親衛隊長に「代わりに持っていって?」ってわりかし可愛め意識して小首かしげても写メられただけで「自分で持っていってください。」って怒られた。けど、どうしても嫌だ。
「・・・」
待てよ。
手にした書類のせいで仲島と顔を合わせなきゃいけない⇒書類のせい⇒全部書類のせい⇒書類が無ければ持っていかなくていい。

そうだ!なんで気がつかなかったのか。
チェックした書類だって食堂のメニューの改善案だとか、会長がかっこよすぎて夜も眠れない等々、どーでもいい「高校生」が扱うにふさわしいものばっか。 この数十枚をほっぽってもどうってことない。バレて風紀委員長を更迭されるならそれこそ願ったりだ。
そもそも俺が嫌だって言っても無理にやらせたのは先生達だし・・・

この時の俺は疲弊困憊だった。

面倒見が良いし頭いいし、それに芸能人でも見たときがないくらいカッコイイ、つまりは誰もが憧れ嫉妬せざるを得ない仲島とそれなりに仲が良いつもりだった俺は、実際のところ、それを少し自慢にも思っていたんだ。

そんな相手からの突然の嫌悪、非難、憎悪といった視線が 自分で思うよりも辛かった。会長と風紀委員長。必然的にこれから関わる時間が多くなる。そうなればまた一年の時みたくいろんなこと話せるなあって思ってたのに。

ぼうっとした頭のまま、廊下のすぐ横、教務用の事務室に据えられてるシュレッダーの電源を入れた。

カチリ。
ブーンと低く唸る機械音。それに合わせて俺のテンションもどんどんどんどん低くなる。

どうしてこんなにショックなんだろう。仲島とは二年になってからは疎遠だった。あっちから誘われても部活優先する程度の間柄だった。ならどうしてこんなに凹んでんだ?

ため息をつきながら書類を裁断口に引き入れたその時、横からぐっと腕を掴まれた。顔を上げると、今の今まで散々俺の頭ん中をぐるぐる占領していた相手が眉を顰めて立っていた。

「何をしてるんだ?」


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