#7

二人の頭の中は恐慌状態だった。嵐が吹き荒れていた。
お互いに一言もしゃべらずに、早足で(しかし決して走らずに)廊下を突き進んでいた。

なんだ、あれは。アレが男?自分達と同じにカテゴライズされるのか?
今までテレビの中で見たどんなアイドルよりも、可愛い。加えて清純な佇まい。高貴な所作。
男色に興味のないチカでさえ、あれが相手ならばイケると思った。髪を伸ばしているわけでも、化粧をしているわけでもないのに、中性的どころかどっからどう見ても「女」にしか見えない容姿。

「どういう遺伝子の革命なわけ?今の上様ってめっちゃ田舎侍系だったよね。」
まだ興奮が冷めやらないのか、廊下には多くの生徒達が溢れかえり、若様の輝くばかりの容姿を褒め称え、気の早いことに「親衛隊」なるものの今後の活動についての打ち合わせが始まっていた。

一方、会長の親衛隊はというと、完全なる「お通夜」だった。
「僕は、会長様の誰にも靡かない、剣の道しかみえないあのストイックなお姿にあこがれてココに入学したのに・・・」
「あっあんな美しい人に言い寄られたんじゃ、ノーマルな会長様でも絶対「小姓」にしちゃうよ!」
「馬鹿!次期将軍様を「小姓」なんかにするわけないだろ!きっと正式な「恋人」としてお付き合いされるにきまってる。」
「だって、あんなに美しくて愛らしい人、誰も敵いっこないもの。」
「今頃、お二人は・・・」
檻の中のハムスターのように教室の隅に集まり啜り泣く親衛隊のその歓迎するわけには到底いかない会話に、チカもソウゴも一層足を速めた。


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