続・同郷トリオと一緒 01 [ 70/167 ]
「お兄さん!おはようございます!」
「うわあ出たあ」
早朝、自室に元気よくやってきた小さな来訪者の姿を見て....ライナーはベッドの中にいながら盛大な溜め息を吐いた。
「...........また、縮んじまったのか.....。」
ひとまず起き上がったライナーはぼすぼすと彼女の頭を軽く叩きながら零す。小エルダはそれを楽しそうに甘受していた。
「違いますよ!この前より2cmも伸びましたっ。」
「そうかあ....偉いなあ....」
「はいっ、偉いです!!」
お前は全く偉く無いだろ。.....というか鍵かけてあるのにどうやって入った
「蹴りたい背中の気配を感じてアニさん推参エルダが部屋にいないと思ったら何連れ込んでるんだ」
「うわあ出やがった」
「おはようそして死ね!!!」
という訳で......大人三人小人一人の生活が再びスタートしたのである。
*
(......暇ですねえ)
平日の昼間.....エルダはいつもの如く、部屋に残される。
......父親と生活していた時も多いにあった事なので慣れているのだが....賑やかなこの家では余計に退屈に...そして少し、寂しく感じた。
(本でも読みましょうか....)
そういう時は読書に限る。活字の中、空想の世界で遊んでいれば...知らぬうちに日が暮れ、大好きな人が帰って来てくれる筈だから......
(...........んん?)
小さな図書室と化している自室へと向かおうと思ったが、エルダは共有場所の机に置かれた...見慣れない紙の束に目を留めた。
(これって......)
もしや、レポートというものでは......?
.......そうです。きっとそうです。というか何度読んでもひっくり返して読んでもレポートです。
いつも...大きいお兄さんがひいひい言いながら仕上げているあれです。そしてこの内容はお姉さんが書いていたものと同じ.....
と、言う事は.....
(お姉さん....忘れ物ですよー....)
どうしましょう。提出が遅れるとそれは恐ろしい事になると聞きました。よし子さんより恐ろしいそうですから相当です。
.......少しの間、エルダは目を閉じて考えを纏めていた。
そして....当然の様に、ある考えに辿り着く。
(私が....届けに行くべきでしょうか....、いや、行くべきです!)
いつもお姉さんにはお世話になっている.....その恩返しを、今こそする時なのです!
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