アニに包帯を巻く 01 [ 4/167 ]
「...なんで私がお前と組まなきゃいけないんだ。」
ユミルが最高に嫌そうな顔でエルダを見た。
「文句言わないの....クリスタと貴女が組むのはあまりにアンバランスだもの。」
「というか対人格闘術なんか点数にならないんだろ?適当にサボろうぜ。」
周りを見回すと適当に力を抜きながらやっている連中が結構いる。
皆過酷な訓練の骨休めにしているのだろう。
「気持ちは分かるけれど格闘術も勉強しておけば何かしらの役に立つかもしれないわ。できる事が多いにこした事は無いよ?」
「はぁ?巨人と戦うのになんで対人格闘術が役に立つんだよ...。」
「巨人も恐いけど人間に襲われて死んでしまう事だってこれから充分あり得るもの。
...人間は良い方にも悪い方にも様々な可能性を秘めているから...巨人と同じ位恐ろしい...と、そういう考え方もある訳で...。」
「.....てっきりお前は平和主義かと思ってたが意外と物騒な事考えてるんだな...。」
「という訳で私と仲良く取っ組み合いをしましょう。」
「あーあ、お前がクリスタだったらなぁ...」
*
背後でひと際大きな音がした。
おぉ、ライナーの巨体が宙を舞っている。
アニの見事な技にエルダは見入ってしまった。
「鮮やかだこと。惚れ惚れしてしまうわねえ。」溜め息まじりに言う。
「なんだ?あぁいうのがタイプなのか?お前の趣味は芋女といいよく分かんねーな。」
「そんなんじゃないわよ...まったく貴女って人は仕様が無いわねえ...」
アニはエレンとしばらく険悪な雰囲気で話をしていたが、やがて背を向けて人の輪からはずれていった。
(ん?あの足...)
エルダはアニの歩き方が若干不自然な事に気がついた。
恐らく彼女は足を少々痛めている。
アニに声をかけようとしたが、それはユミルに阻まれた。
「おい!いつまであの女に見とれてるんだよ。お前の相手は私だろう。」
「さっきまで私と組むのを嫌がっていたくせに。」
「うるせーよ。放っておかれるのもそれはそれでムカつくんだよ。」
「理不尽な子ねえ。」
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