ルール決め






「部屋の掃除してたら、なつかしいもの見つけちゃった」


じゃじゃーん!というセルフ効果音と共に出された一冊のノート。
表紙には世界的に有名なあのネズミカップルが映し出されていて、中にはその愉快な仲間達がわらわらとたくさんいる。

左側は普通に罫線の引かれたページで、右側には今日あった嫌なこと!や、今日あった良いこと!、フリースペース、お返事コーナーなどが書かれている。


「交換日記か?なつかしいな!」

「読書の邪魔だ」


交換日記をぱらぱらとページをめくり爽やかに笑う少年と、あからさまに迷惑そうな顔をして本を読んでいる少年。この学校で知らない者はいないであろう名物と化している、徳川家康と石田三成。


「ねえねえ、交換日記やろうよ!せっかくだし!はい決定どんどんぱふー」


そして、強引に話しを進める少女・首切鎌子


「はは、久々にこういったものをやるのも悪くないかも知れんな!」

「やりたければ2人でやっていろ、私は断る」

「なんでよー」

「三成、ワシ等との絆をもっと深めようとは思わないのか?」

「貴様なんかと誰が深めたいと思うか!」

「じゃあ私は?」

「どうでもいい」

「ひどい!家康助けて!」

「よし、じゃーんけーん…」

「「ぽん!」」


急に開始されたじゃんけんに、つい条件反射で三成も手を出してしまった。
結果は家康がグーで、三成と鎌子はチョキ。


「家康の1人勝ちー!」

「じゃあワシが1番だな!で、次が…三成!3番目が鎌子だ!」

「何を勝手に決めているんだ!」

「順番!」

「見ればわかる!」


交換日記の最初のページにすらすらと3人の名前を書き込んでいく家康。
それを見て、ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す三成。


「じゃあ次はルールね。うーん、5つか…どうしよう?」

「3日以内に回す、とかか?」

「よし、そうしよう!」

「人の話を聞け!私はやらないぞ!!」

「秀吉先生といつか交換日記をする日が来た時に、三成が慌てないよう練習させてあげようとしてるのにー」

「交換日記とかしたことなさそうだもんな、三成は」

「今のうちにやり方掴んでおかないと、秀吉先生と交換日記する時恥をかくよ」

「なん、だと…」


顎に手を当て、悩み始めた三成を残念そうな目で見る2人。ああ、こいつ本当に秀吉先生絡みだと気持ち悪いな…という感情を込めて。


「…ふん、仕方ない。そのくだらない遊びに付き合ってやる」

「さっすが三成!」

「よし、では残りのルールを決めていこう!」


ああでもないこうでもないと話し合いつつ、こうして一冊の交換日記が完成した。






・回ってきたら3日以内に次の人へ渡す事。期間厳守!過ぎたら斬首!
・投げやりに書かないこと。1行だけとか駄目絶対。それでは駄目なんだ!
・秀吉様への忠義を誓う事。
・↑はどうでもいい
・絆を大切に! ←うるさい黙れ

順番:徳川家康→石田三成→首切鎌子






「じゃあ、最初は家康ね!」

「ああ!」

「……私ははめられた、のか…?」





交換日記、しーましょっ!




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