可愛い!とにかく可愛いの!
何がってそりゃあもう決まってるじゃないか。
「そろそろ機嫌直してよ豪くーん」
「へんっ」
「ポッキーあるよ、食べようよ」
「たべ、…ねぇよ!」
「ぬっ」
ポッキーを差し出したら少し反応したけど、結局腕を組んでそっぽを向かれてしまった。一体何が気にくわないのかわからないがまるでこちらを見てくれない。態度悪いなぁ。
「ほらほらこっちおいでー」
「ぎゃー!」
逃げようとした胴体をがっちりホールドして膝の上に乗せてみた。暴れまくってるけどどうせ敵いやしないので問題ではない。おっきいぬいぐるみみたいだ。
「子ども扱いすんじゃねー!」
「子どもでしょー」
「名前だって子どもだろ!」
「残念、義務教育は終了してるんです。だから君よりワンランク上なのー」
「ぎむ…?」
「あー難しかったねーごめんごめん」
「くっそー!」
「で、なに?なんで怒ってんの?」
「…………」
顔を近付けると本当にわかってねぇのかよ、と呟かれる。わかんないよと返したらみるみる豪の顔は赤くなった。え、なに、気になる…!
「だから、その」
「うん」
「昨日烈兄貴が名前んちで宿題教えてもらったって聞いて」
「…教えたね」
「ああそうかよ」
「え、それで?それで怒ってんの?」
「うっせー」
また逃げようとするけど無駄無駄。あとそれは立派なヤキモチですありがとうございます。
ていうか。
「烈くん迎えに行ったとき君爆睡してたじゃん!」
「起こせよ!」
「起こしたら怒るでしょ!」
「怒んねーよ馬鹿!馬鹿名前!」
「ああああ馬鹿って言われた…よりによって豪に、馬鹿って…」
「おいなんか猛烈に悲しくなってきたんだけど…」
果たして豪が勉強するかは定かじゃない、でも今度からはちゃんと誘うからねって言ったら納得してくれたみたいだ。
やっぱり目は合わないんだけど。
「もうちょっとこのままでいい?」
「…おう」
ポッキーあげたら大口開けて食べてくれた。
あー可愛い可愛い。
(0505/ライト)