五月の晴天はあなたによく似合う
白い太陽、眩しくて目がくらむの
ひかりの粒子がゆびさきに、絡む





「俺のことすき?」




デートしよう!
手をとられ、拐われ部屋を飛び出した。

だんだんと熱気が疼きだした5月の陽気に、
まだ春を抱きしめたままの私は暑さに嫌気がさしていた。
密着している手のひらから汗が噴き出すのがわかる。


「日本はあっついなあ」
「じゃあ手はなせば」
「名前はいや?」
「嫌。」
「そんな!」



悲鳴混じりに不満をつのらせ、彼は私を抱きしめた。
ぎゅう、と聞こえそうなくらいに、きつく。
互いの汗すらからみつく。
私のことばで一喜一憂してみせる彼は、なんてかわいいのだろう。




「ねえねえ俺のことすき?」


耳元でくぐもった声がする。
私の肩口に顔をしずめてるからだ。
ショックだ!と喚く彼は、それでいて楽しそうでもあった。

彼はきっと、愛情をそそぐ行為がすきでたまらないのだろうなと思った。
感情を体現することを尊び、ことばはいつも真っ直ぐだ。
その質問をされると、私はいつも嬉しくなって、思わずにやけてしまう。
抱きしめたままでもエッジは私が笑っていることに気づくらしい。
彼もまた嬉しそうに笑う。
顔を見なくても、気配でわかる。



「あ、俺が冗談いってると思ってるんでしょ」


「そんなことないよ」


「つれないんだからー」



炎天下のした、くっついて笑いあう私たちはなんてしあわせものなんだろう。
日焼けしそうなくらい陽を浴びて、エッジの赤い髪はもえそうなくらい熱かった。
髪を撫でてやると、エッジが満足気にため息をついた。


言葉がほんものだとは限らない
私たちはそのことを、よおく識っていた。
だからこそ、ひかれあったのかもしれない。




「ねぇ、名前、云ってよ」

「んふふ」

「でもすき!」








(0517/レフト)