1/2 紅さんから、カカシさんが風邪を引いていると聞いた。 結構重いみたいで、寝込む程のものらしい。 だから最近待機所にいなかったのね。 「私とアスマが毎日交代で看病に行ったおかげか、症状は軽くなったんだけど、まだ外に出るには不安でね。 なのにちょうど薬が切れちゃって。私たち今日は任務で行けないのよ。 だから、代わりに行って薬を届けてくれないかしら?」 「わかりました、もちろん行きます!」 「ありがとう。じゃ、頼んだわよ」 薬を届けるだけでいいんだ。楽チンじゃない。 あ、一応林檎とか持って行った方がいいかな? 紅さんは、悪いわね、と言いながらカカシさん家の鍵を渡してくれた。 紅さんの頼みなら何だって引き受けますよ! 私が上忍になって最初に話しかけてきてくれたのは、紅さんだった。 色々わからないこととか、世間話をしている内に、仲が良くなっていった。 それに、紅さんを通してアンコさんやハヤテさんなど友達も出来た。 きっかけは全部紅さんがくれた。 だから、紅さんの頼みだったら、たとえどんなにボロボロな状態でも必ず言うこと聞くって決めたんだ! ま、今はバリバリの健康体だから問題ないんだけど…。 紅さんから渡された鍵を使って、玄関を開ける。 寝室らしきドアをノックして、中に入った。 「カカシさんこんにちは。 紅さんとアスマさんは任務で来れないそうなので、代わりに薬届けに来ました」 私とカカシさんはわりと仲が良い。 紅さんはカカシさんとも仲が良いから、必然的に知り合っていった。 ベッドで寝ていたカカシさんは、私を見て数秒固まった。 「…名前、ちゃん?」 「そうですよ?」 おかしなことを聞くカカシさん。 ちょっと声がしゃがれている以外は大丈夫そうで安心した。 それにしても、言葉を発した直後から、じっと私を見て目を離さない。 な、何か顔についてるのかな。 そんなに見られると恥ずかしい…。 「あの、何か顔についてますか?」 「いや、何でもなーいよ」 さっきまで人のことを凝視してたのに、今はうって変わっていつもの笑顔。 風邪引いて頭でもおかしくなっちゃったのかな。 そんなことはないよね…。 「それじゃあカカシさん、薬です」 「ん、ありがと」 薬と、お見舞い品の林檎の入った袋を渡そうとしたら、腕ごと掴まれた。 そのまま引っ張られ、抱き寄せられる。 「ちょっカカシさん!?」 「ん…名前ちゃん良い匂いする…」 そう言って体を擦り寄せてくる。 それだけならまだしも、あろうことか服の中に手を入れてこようとしてきた。 慌てて抵抗する。 「ね、寝ぼけてないで離して下さい!」 「寝ぼけてなんかなーいよ?」 …カカシさん本当に頭おかしくなったのかな? 気をとられて抵抗の力を止めたせいで、服の中に手を入れられた。 「な、だから何するんですか!?」 「ん?誘ってるんじゃないの?」 はぁ!? 「や、やめてください!!私そんな…つもりは…」 カカシさんの手が私の体をまさぐる。 やばい、声が負けてきてる…! 「こんな所に一人で来ておいて、今更だね…」 「やっ…私はただ、薬を届けに来…んっ」 「素直じゃないねぇ…。少しは期待して来たんでしょ?」 「違っ…、本当に私っ…あ!!!いやぁ…んっ」 「へぇ…そう。体は嫌とは言ってないけど?」 カカシさんの手が、私の敏感なとこをかすった。 そこは…だめっ… 「やっ、カカシさんっ…」 涙目でカカシさんを見上げる。 もう、無理…。体が、我慢できないくらい、疼くよぉ… 私の言いたいことがわかったのか、 「優しくするからね」 一言ぽつりと掠れた声で言われて。 顎を持ち上げられ、ちゅっと音の鳴るキスをされた。 ×× (寝技師ってほんとだったんだ…!) あの後散々抱かれて、カカシさんは何故かすっかり元気になった。 私はだるくて体を動かす気になれない。 どうしてそんなに元気なのよ〜? というか風邪引いてたよね? 「ん?前から好きだった名前ちゃんを抱けたからかな」 さらっといつもの笑顔のカカシさん。 …は?今何かすごいこと言わなかった? 表情がいつものカカシさん過ぎて訳が分からず、とりあえずぼーっとカカシさんを見つめる。 「ねぇ、名前ちゃん。前からずっと好きだったんだ。 俺と付き合って下さい」 私を見つめる真顔の中に、少しの緊張の色が見えた。 カカシさんも、やっぱこういう時は緊張するんだ。 そう思うと、笑えてきた。 答えなんてとっくに決まってるよ。 返事の代わりに、きょとんとしているカカシさんの鼻先にちゅっとキスをした。 →あとがき→ ← 戻 → |