捧げもの | ナノ


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「名前が好きだ。俺と付き合ってほしい」



…え?え?


………好き?

























「名前?聞いてる?」

「…へ、え?」


無意識に返事をして、カカシを見る。
あ、目合った。


いつものやる気なさそうな顔をしているのに、声は真剣だった。


「外、出よっか。
テウチさん、代金今度払いますんで」

「お、おう!」


私の手を引っ張って、カカシはずんずん先へと進んでいく。
歩くの速いわね…。
転びそうになる足を必死に動かす。
まだ追いつかない頭が何も考えさせてくれなくて。
真っ白なまま。



カカシが歩みを止めた場所はどこかの屋上。


「名前」


掠れた声で私を呼ぶ。


「いきなり言って、ごめん」


「…え、ええ。別にいいわ。」


カカシの顔を見ないまま返事をする。
今更だけど物凄く恥ずかしい。


「最初に会った時から、名前のことが気になってたんだ」

「……」

そうだったの、
私は、あなたのこと、

言いたいことはあるのに、声が出ない。


「…あと数時間は木ノ葉にいなきゃいけないけど、俺が近くにいると嫌だろうから、帰る時間になるまで他の奴と行動してちょうだい」


返事をしなかった私を、カカシは悪い方にとったらしい。


「…や」

「え?」

「いや、カカシがいい」

「え」

「私といて。カカシ以外は嫌だわ」


カカシは目を見開いた。

カカシと一緒にいたい。
恥ずかしさを感じる前に、理性が止める前に、言葉が出てた。
こんなこと言ってるんだから、告白された後も嫌いにはなってないみたいね…




「名前」


呼ばれて、屋上を出ようと先を歩いていた足を止めて振り向けば、


「カカ、シ…」


ぎゅっと優しく抱きしめられた。


「ねぇ、こうされてどう感じる?」

「すごいドキドキする…」


心臓が壊れそうなくらい鼓動を打っているのがわかる。
すごく心地良い…。
そう感じていると、カカシが、ゆっくりと腕を解こうとした。


「まだいや…!」


私はぎゅっとカカシを抱きしめた。


「!」

「カカシ…私あなたのこと好きなのかも」


だって今すごく、こうやっていて安心するから。
ずっとこのままでいたいって思うから。

そう思ってにこっと笑いかけたら、カカシの顔が近づいてきて、キスされた。
唇の感触にうっとりしたのは、あまりにも恥ずかしくて言えない。


「カカシ、」

「好きだ名前」


さっきよりも強く抱きしめられる。


「…私も」









「ついにか!」

「ええ、まあ」

「よくやったな!私も安心したよ」

「…何かあったの?」


火影様に報告に行くと、満面の笑みで迎えてくれた。


「いやいや、何でもないよ。
それよりさっさと報告に行きな」

「今から花隠れにですか?」

「そうだ。結婚するとな」

「「結婚!?」」


私たちのびっくりした顔を見て、きょとんとした火影様。


「もしかして…まだなのか?」

「お互い好きってわかっただけで…まだ結婚とかは…」

「決めてない、のか…?」

「はい…」


火影様の表情がみるみる変わっていく。


「…今すぐ結婚しろ!火影命令だ!!」

「えぇ!?そんな無茶な!」

「無茶でもナスでも何でもいい!結婚しろ!」

「えぇ…」


火影様の無茶苦茶な言葉にたじたじでいると、カカシがとんでもないことを言ってきた。


「俺は今すぐ結婚してもいいよ?」

「え!?
だ、だってまだ両思いってわかっただけじゃないの…!」

「それがわかれば十分じゃない?名前は里も違うし、このままだとなかなか会えないのは目に見えるよ」

「確かにそうだけど…」

「結婚して同居しちゃえば、こんな問題は簡単に消化できるよ?」

「でも…」


それでも尻込みしている私を見て、カカシが優しく語りかけてきた。


「名前。俺は初めて、一人の女性といつも一緒にいたいって思ったんだ。
それが名前だよ」

「カカシ…」

「今すぐが嫌なら強制はしない。でも、いずれは名前と結婚したいと思ってるから」

「…そうね。私もカカシといつも一緒にいたいわ。
…結婚、しましょうか」


恥ずかしさで顔が赤くなった私を見て、カカシは満面の笑みで私を抱きしめた。


「ありがとう、名前。
じゃあ、とりあえず花隠れに報告に行きますか」

「うん」


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