捧げもの | ナノ


1/3


名前。
俺は、君が忘れられない…















「失礼します」


火影室のドアを開ける。
体調が回復したら、火影室に来るようにと言われていた。


「お、元気そうだなカカシ。体はもう平気か?」

「ええ、明日にはいつもの調子に戻るかと」

「そうか」


綱手様はそう相槌を打って、ため息をはいた。


「どうかされたんですか?」

「名前にカカシを助けてくれた礼の仕方を考えているんだがな、ちっとも思い付かないんだよ。
カカシは何か名前のこと知らないか?例えば好きな物とか」

「あー…そういえば甘栗甘の団子買って帰るとか言ってましたよ」

「それだ!」


綱手様は、ぱんと手を打った。


「木ノ葉の名物巡りにしよう!あとは一般観光じゃ行けない場所にでも連れて行けばいいだろ」

「そうですね。じゃあ明日、早速花隠れに行ってきます」

「ん?誰がお前に行けなんて言った?」

「…は?」

「お前は明日、Aランク任務だぞ?」

「え、…えぇ!?」

「…なーんてな、冗談だ。お前が行かないと意味ないしな」


はははと豪快に笑う綱手様。
綱手様はたまに冗談か本気かわからない時があるから怖いんだよね…。


「にしても何なんだ?」

「何がですか?」


綱手様がこっちをじろりと見てきた。


「さっきの驚き方だよ。今までのお前なら、誰が行こうが構わないはずだろう」

「そうでしたかね…はは、まあ別にいいじゃ…」

「もしかしてお前、名前に惚れたのか!?」


俺の言葉を無視して一人ニヤついている綱手。
綱手様は一度食いつくとしつこいからなぁ…。


「あのカカシがなぁー!やっと落ち着く気になったか」


一人会話を進めている綱手様に、ぼそっと呟いてみた。


「…別に、名前のことを好きだなんて一言も言ってませんが」

「あぁ?好きじゃないのかい!?」


恐ろしい形相でこっちを睨む綱手様。
な、なな何でそんな怒ってるの!?


「いえ…あの…」

「はっきりしな!!」


嘘でも好きだと言わないと、また入院する羽目になりそうな気がした。
いや、別に嘘を言うつもりはないんだけどね?


「好き、です…。」

「ふん。最初から素直に言えばいいんだ」


綱手様は腕組みをして息をはく。


「でも何でそんなに俺の恋愛を気になさるんですか?
はやく誰かとくっつけと?」


俺がそう聞くと、綱手様は、

「当たり前だろう!お前の私生活なんぞこれっぽちも興味ないが、お前に関する噂や被害者の女が絶えないんだ。他国にこんなことが知れたら恥だしな、さっさと身を固めてほしいに決まってるじゃないか」


被害者って…確かに一回限りの遊びが多いけどさ。


「はは…」

「絶対名前を逃すんじゃないよ!いいね!」


綱手様はそう言って、さっさと帰れとばかりに片手でしっしと俺を追い払う。

さすがに傷つくよ…。
火影室を出て、胸に手を当てて自分をなぐさめた…。







カカシを助ける前にこなした任務の報告書を書きながら、私はカカシのことを思い出していた。
カカシ、元気になったかしら…。


「名前先生!」

「あら、シオリじゃない。どうしたの?」


近付いてきたのはシオリだった。


「お団子有難う御座いました!とっても美味しかったです」

「ううん、この前は連れて行けなくてごめんね。今度は二人で行きましょうね」

「はい!
あ、そういえば、先生に依頼が来たんで、それを伝えにきたんです」

「そうだったの。任務内容は?」


「や。どーも」


私がシオリに質問した時、片手を挙げて会話に入ってきた人物に目を見開いた。


「あなたカカシじゃない…!どうしてここに?」


私の質問を無視して、シオリが言葉を紡ぐ。


「木ノ葉隠れの里からの依頼だそうです。内容は、里巡りです」

「そ。ま、木ノ葉からの礼だーよ。それで、俺が迎えに来たってわけ」


シオリとカカシが交互にしゃべる。
なるほど。だからカカシがここにいるのね。


「二泊三日みたいですよ!よかったですね、先生!」

「日頃の疲れを癒せるチャンスね!」


私はシオリに笑顔を向けた。
久しぶりにゆっくり休めるわ!


「じゃ、早速行こうか」


そう言って歩いて行こうとするカカシに疑問を投げかけた。


「シオリは一緒に行かないの?」

「下忍のうちはしっかり任務をこなすようにって火影様がおっしゃったみたいで…」


シオリが寂しそうに呟く。


「そう…ならしょうがないわね。
大丈夫、またちゃんとお土産買ってくるからね!」

「はいっ!有難う御座います!!」


シオリは嬉しそうに返事をしたから、私はホッとした。



「じゃ、行くよ?」

「ええ」


報告書を提出して、カカシと共に里を出る。


「ちょっと距離あるけど、名前の体力なら休みなしで平気でしょ」

「え?まぁ行けるけど…」

「男並みの体力だもんね〜」

「うるさい!!」


からかうようにぷぷっと笑ってきたカカシに腹がたつ。
誰が助けたと思ってるのよ!


「そんなこと言うなら、あの時カカシなんて無視して帰ればよかったわ」

「まあまあ、からかいすぎたよ。ごめーんね」


ぽんぽんと頭を撫でられる。
本当は子供扱いとか好きじゃないんだけど。
でも、カカシの撫で方は妙に安心する。
何でだろう…。


←  

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -