捧げもの | ナノ


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「木ノ葉とうちゃーく」


辺りは暗くなっていた。
今は夕飯時を過ぎた頃なのか、里内は人がたくさん歩いている。


「さすがに疲れた…」


名前は乱れる息を整える。


「着いたらすぐに綱手様のとこに行くように言われてるんだけど…大丈夫?」

「うん。…はぁ、もう平気」

「じゃ、行こっか」





「失礼します」


ドアをこんこんと叩く。


「入れ。…お、来たか」

「連れてきました」

「久しぶりだな、名前」

「お久しぶりです、火影様」

「どうだ?」

「へ?」


いきなり突拍子もないことを言われてきょとんとする。
どうだって何が?


「その調子だとまだか…」

「何のことですか?」

「いや、何でもない。
花隠れから遠いのにご苦労だった。宿をとってあるから、今日はもう遅いし、疲れただろうからゆっくり寝るといい」

「はい。有難う御座います」

「じゃあまた帰る時に寄ってくれ。
あ、名前は先に外に出ててくれ。カカシと話がある」

「わかりました」


名前はぱたんとドアを閉めた。


「…何ですか綱手様」

「お前にも名前と同じ宿をとっといた。さっさとくっつくようにな」

「!?」


俺は綱手の言葉に驚いた。


「まぁ名前とは別室だがな。お前はいつも任務に追われてるし、体も休めたらいい。
それに名前の担当下忍のシオリも来させないようにしたんだ。私がこんなに優しくて、しかも火影でよかったな!」


名前との任務が終わったら、きっとキツイ任務が待っているんだろう。
綱手様は休みをタダでくれるお方じゃないからな…


「…ま、最近疲れてたしゆっくりしますか」


先のことは考えないことにした。


「頑張んなよ!
あ、いきなり襲うのはやめた方がいいぞ」

「そんなことしませんよ!」


俺ははぁとため息をついて火影室を出た。





火影邸を出て名前と合流する。


「こっちだよ〜」


俺は名前を手招きする。
しかしそんな俺の行為を無視して、色んな店の商品を見ている名前。


「何かいいのあった?」


近付いて聞いてみる。


「花隠れにはないものがたくさんあって…本当に木ノ葉は栄えてるのね」

「ま、ね」

「あ、これ可愛い…」


名前が手にとったのは、ピンクの花びらのついたピン。


「似合うんじゃない?つけてみれば?」

「そうかな?…どう?」


ピンをつけ、恥ずかしそうにこっちを見て微笑む名前にドキンと胸が高鳴った。


「す、すごく似合うよ。俺が買ってあげる」

「え?でも…」

「俺からもお礼させてよ。ま、こんな物じゃ全然足りないけどさ」


これは俺の本心だった。
俺を助けてくれた名前に、俺からも何かお礼がしたい。
でも何が好みかわからないから、名前が気に入った物を買うつもりだった。


「じゃあお言葉に甘えて…」


俺は店主に金を払い、「行こうか」と名前を促す。


「ありがとう、カカシ」

「どういたしまして」


また微笑まれて、さっきよりもかなり赤くなった顔を見られないように、名前のいる場所とは反対側を眺めた。











次の日。
朝から木ノ葉の有名な観光地や温泉街に、名前を連れ回した。
アカデミーに行って中を見ていたら、ガイに会って決闘を求められたりもした。

「カカシ!勝負だ!」


名前はガイの濃さに戸惑いながらも笑顔で見ていて、思わずむかっときたから雷切を使った。


「さすがは我が永遠のライバル…俺もまだまだ修行が足りんか…」


そう言って地面に倒れたガイを無視し、おろおろする名前を引っ張って昼食にと一楽へ向かった。



「〜! すっごく美味しい!!」

「でしょ。木ノ葉でも一番人気のラーメン屋なんだよ」


名前は目を輝かせながらラーメンを食べている。

「ありがとよ嬢ちゃん!いっぱい食ってくれな!」

「はいっ!」


テウチの言葉通り、名前が三杯目のラーメンに箸をつけた。


「ちょっとちょっと。いくらなんでも食べ過ぎじゃない?」

「いいじゃない美味しいんだから」

「男並みの体力と言い、名前は食いっぷりも男並みだねー」


俺がからかうように笑顔で言うと、名前はふんっ!とそっぽを向いて食べ始めた。


「名前は体重とか気にならないの?」

「そんなのどうだっていいわよ。任務に支障が出ないくらいのスピードで走れれば十分だわ」


そう言って最後の麺をズズッと吸った。


「ふー、ごちそうさま!」

「いい食いっぷりだなぁ嬢ちゃん!ナルトと張り合えるくらいだぞ」

「ナルト…?
まあ、私食べることが好きだから」

「にしても嬢ちゃんそんなにでかくないのに体してんのによく入るな!
ところで嬢ちゃんはさっきからカカシさんと仲良さそうに話してるが、なんだ、二人は付き合ってるのか?」

「そう見える?」


いたずらっぽく笑う名前に、テウチはどうなんだと俺の方を見る。



「今はまだ違いますが…いずれは彼女にしたいと思っています」


「……え?」


俺の言ったことが理解できないのか、きょとんとしてこちらを見ている名前。
もう一度言う。


「名前が好きだ。俺と付き合ってほしい」


今度はちゃんと理解したのか、耳まで真っ赤になった。




(そんな顔してこっち見ないでよ)
(抱きしめたくなるでしょ)


→あとがき→


  

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