捧げもの | ナノ


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普段は仲間がいるし、プライドがあるから絶対こんなこと言わないんだけど。
さすがにこれは、やばい、かも。




















俺―はたけカカシは、Aランク任務についていた。
抜け忍組織を壊滅せよ。
これが俺の任務内容。
大して大きくない組織と判明したから、単独になった。
なのに。


「大きくないって聞いたんだけどなぁ…何よこの数」

周りを見れば、出てくるわ出てくるわ。
予想を超える数の忍が集まっていた。

もうパックンたちを呼び出せるくらいのチャクラは残っていない。
というか、次術を使ったらチャクラ切れになるかも。
やばいなぁ…



こういう組織の場合は、リーダー的存在を倒しても意味がない。
生き残った他の忍がまた組織を結成するからだ。
だから、根絶やしにしなければならない。
だけど、このままいったら俺が根絶やしにされそう…。


敵忍も俺の疲労に気付いたのか、畳み掛けるように攻撃を繰り出してくる。
俺は必死にそれらを避けて、反撃で敵忍を一人一人、確実に仕留めていく。
だけど死角をついてクナイを振りかざされ。
やばい、と思った時には遅かった。
目の前にクナイがあった。






「名前先生。このまま帰りますか?」


任務が終わって帰ろうとしたら、下忍のシオリに問いかけられた。


「ええ。そのつもりだけど…何か用事でもあるの?」

「木ノ葉の里の甘栗甘行きたいなぁって…」


木ノ葉の里はここからそんなに遠くない。
少し赤くなりながら話すシオリを可愛く思いながら、

「急ぎの任務でもないし…じゃ、行こうか」

「はいっ!!」


ルートを変えて走る。
と、何か音がした。


「クナイの音…」

「先生あそこ!」


シオリに言われてそちらに目をやると、一人の忍が大勢を相手に戦っていた。


「あれ…写輪眼のカカシじゃない!」

写輪眼のカカシは、そのあだ名の通り左目の写輪眼が特徴だと聞いたことがある。
今、私たちと彼の距離は遠いから、もうひとつの特徴である銀髪で気付いた。
銀髪はなかなかいないしね。
太陽に反射して、キラキラ光る美しいそれをなびかせながら、クナイで敵を斬り倒していく写輪眼のカカシ。


「先生、あの人すごいですね〜」

「そうね」


シオリに相槌を打ちながら、私は眉間に皺を寄せた。
でもあのままじゃ、はたけカカシは死ぬ。
術を使わないところを見ると、チャクラはほとんどないに違いない。
それに、徐々に敵に追い詰められ始めている。


救援に、入る…?
確かに私のいる里―花隠れの里という―と木ノ葉隠れの里は同盟を結んでいるし、実際私も木ノ葉に何回も遊びに行っている友好っぷりだ。
しかし、いくら同盟を結んでいるとは言え、他里の者を助けてメリットがあるだろうか。

一人悶々と悩んでいたら、シオリのあっ!という声が聞こえた。

「先生あれ…!!」

はたけカカシの死角をついて、クナイが振り降ろされようとしていた。

「シオリはそこにいて!絶対動くんじゃないよ」


返事を待たずに駆け出す。

「光遁・放!」

特殊な印を組んで両手に光の玉を出す。
それを斬りかかろうとしている敵に放った。
次いで、他の敵にも光遁・放を放つ。
私の手を離れた光遁は、凄まじいスピードで敵の体を突き抜けていった。


「お前は…誰だ」

はたけカカシは目の前で、それも一瞬で全滅した敵の死体を、目を開きながら見て聞いてきた。

「私は花隠れの里の名字名前。
任務から帰る途中、さっきの交戦を見た」

「何故…俺を助けるような真似を?」


こっちをじろりと睨みつつ聞いてきた。
別にお礼とか言われたいわけじゃないけど、睨まなくたっていいと思う。


「写輪眼のカカシが死んだら、木ノ葉の里以外の損害も大きいから、が二番目の理由。
一番の理由は、目の前で苦戦してる忍を放っておけなかった、かな」

「そっか…ありがとね」


さっきとはうって変わって、くしゃっと眉を下げながら笑った。
あら、情けない顔…


「あなたチャクラはあまりないんでしょう?
里まで自力で帰れるの?」

「ん〜、無理っぽいかなあ」

「…しょうがないわね、」

「先生〜!!」


シオリが走り寄ってきた。


「大丈夫だった?」

「はい!先生すごかったです!かっこよかったです!」

「ありがとう。
あのね、この人チャクラ切れ寸前であんまり動けないみたいだから、木ノ葉の里まで送り届けようと思うの。
だから、あなたは先に帰って…」

「いいえ、私も一緒に行きます!」

「いーや。危ないからやめた方がいいんじゃないかな」

口出ししたのははたけカカシ。

「なっ、なんでですか!」

「さっきの組織とは別の仲間組織が今の名前ちゃんの助太刀を見ていたら、名前ちゃんが狙われるのはわかるよね?」

今さりげなく私の名前呼んだわね。

「はい。
敵としては写輪眼のカカシを倒したかったでしょうし…。
絶好の機会だったのに助太刀に入った名字先生は、奴らにとって邪魔な存在でしょうね」

「ご名答!
んで、君にも危険が及ぶかもしれないのよ。
遠くで気配絶ちしてても、戦闘中だったし、精神を張り詰めてるから君の存在がばれてるかもしれない」

「え!?」

「そこで、だ。
君は早く里に帰って、しばらくは里内任務をこなした方がいい」

「その方がいいと私も思ったの」


はたけカカシの意見に同意する。
私なら対処できることも、下忍であるシオリにはキツいこともある。


「だから、今日は、ね?
改めて今度行きましょう」


私が諭すように言うと、シオリはぐずりながらも、はぁいと返事をした。


「じゃ、分身で送るわ」

印を組んで分身を出す。

「しばらく待っててもらえる?
木ノ葉と花隠れは遠くて同時に行動しにくいのよ」


はたけカカシを見て言うと、


「いーいよ」

との返事が帰ってきた。


  

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