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カレンダーを見て、私は笑みをこぼす。
明日は待ちに待った、カカシとのデート。
しかも、カカシからのお誘い。
恋人という関係になってから半年が経つけど、お互い上忍のため、デートなんて頻繁にできない。
私は専ら、里の外での任務だから、ひどい時は一週間くらいカカシに会えない時がある。
明日のことが決まった時、五代目に絶対に夜までかかるような任務を入れないように、賄賂持参で頼み込んだ。
「このワンピースもいいな〜」
クローゼットと鏡の前を行き来する私は、もはや忍ではなく女の子。
普段は泥まみれや血まみれになっている私だけど、オシャレだってするしトキメキも忘れない。
何度も行き来して決めたのは、2番目にお気に入りのワンピース。
コートもバッグも靴も、すべて準備万端。
あとは、明日を待つだけ!
「服も決まったし、お風呂にでも入ろうかな」
あっちの予定があるわけじゃないけど、久しぶりのデートということで、気合いを入れて入ってしまった。
時計を見たら、2時間も入っていたみたい。
そういえば、指がふやけてる。
どうせ明日の夜までの任務で汚れるけど、これもデートへの意気込み。
いつもと同じ時間にベッドに入ったけど、いつもと違うのは明日を楽しみにしながら眠ること。
「おやすみなさーい」
「おやすみ」と返してくれる人はいないけど、私は上機嫌のまま眠りについた。
翌朝、任務前に待機所に寄って、カカシに声をかける。
「おはよう、カカシ」
「おはよう、名前」
「ねえ、今日……覚えてるよね?」
「もちろんだよ。すっごく楽しみにしてたんだから」
カカシも楽しみにしてたなんて、この間貸した100両は、返さなくていいからね!
「じゃあ私、任務に行ってくるね」
「いってらっしゃい」
待機所から外へ向かう私の足取りは軽い。
だって、めったにやらないスキップなんてしてるし。
ああ、早く任務終わらないかな〜。
たしか今日の任務は、どこかのお偉いさんの護衛任務だったはず。
目的地に向かっている今、笑みを浮かべている私を見て、隣を歩いている仲間が言った。
「お前、なんか変なもんでも食ったのか?」
「どうして?」
「ずっと笑ってるって言うか、ニヤけっぱなしだから」
「恋する乙女は、いつもスマイルを欠かさないの」
護衛中はもちろん、スマイルを欠かさなかった私は仲間にも、お偉いさんにも恐れられた。
もしかしたら、気味悪がられたのかもしれない。
でも、そんなこと気にしない。無事に任務は終了したしね。
陽の傾きから考えて、里に戻った頃には丁度良い時間。
家に帰って、シャワー浴びて着替えて、カカシと待・ち・合・わ・せ!
里に戻ると、私は即行で家に帰り、準備をした。
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