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私が言ってもおじさんは、何も答えない。
それどころか、さらに私の手を強く握って、引きずるように、私の家とは違う道に入って行く。
私はさらに怖くなった。
「や、やだ!帰る!おじさん放して!お家帰る!帰りたい!!」
そう喚いても、男の人の力には敵わない。
「お母さん!お母さん!やだやだ!助けて!帰る!帰る!!」
「うるさい!黙れ!」
バシンと、おじさんは私の頬を力任せに叩いた。
恐怖に体が凍りつく。
「うるさいガキだ。あんなに優しくしてやったのに。」
おじさんは振り返って私の首を掴んだ。
…息が、苦しい…。
「や、やめ…、おじ…。」
「お前みたいなガキは、一生俺に遊ばれて生きていけばいいんだよ。」
「…く、くる…、誰……。」
あの、醜く歪んだおじさんの顔を最後に、そこからの記憶は、私にはなかった。
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