1/1 「カカシ!ほらこっちこっち」 愛しい彼女が、俺の手を引っ張る。 可愛いな。 着なれない着物を着て、夜なのに俺の所に来たお前を怒ろうと思ったけど、あんまりにもうるうるした目でこっちを見るもんだから怒るに怒れなかった。 全く…これで無自覚なんだからなぁ。 彼女にバレないように、はぁとため息をつく。 本当はこんなに可愛い姿を他の野郎共なんかに見せたくなかったんだけどね。 あんまりにもせがむから、思わずうんとうなずいてしまったんだ。 「カカシ大丈夫?やっぱり疲れてる?」 ぼうっとしてた俺を勘違いしたのか、彼女がこちらを見ながら聞いてくる。 「ううん、そんなことなーいよ」 「ごめんね、任務続きで疲れてるのに無理に誘って…」 「大丈夫だーよ。全然疲れてないし。 ただ、お前があんまりにも可愛いから見とれてたんだよ」 後半の言葉を耳元で囁いたら、お前はあっという間に耳まで真っ赤になった。 ほら、そういう所が俺をどうしようもなく夢中にさせるんだよ? ま、お前はわからないままでいいんだけどね。 俺だけが、君の全部をわかってればいい。 俺だけが、君の全てを見れればいい。 「ほら、鐘突くよ?せーの」 順番が来て、二人で縄を持って鐘を突く。 鈍い音が響いた。 鐘を突いたら (明けましておめでとう、カカシ) (明けましておめでとう、今年もよろしくね) ───────── 2010年のお正月に書きました。 ← 戻 → |