HUNTER×HUNTER短編 | ナノ


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夜ご飯の材料を買って家に帰る。
自炊って、慣れると結構楽しいんだよね。
今日は私の好きなビーフシチュー。
ふふ、と笑顔で自宅に着くと。


「何を笑ってるんだ?」


家の前には、ストーカーがいました。







「遅かったな」

「何でアンタがここにいるの、クロロ」


家の前にいた人物は、クロロ。
スーツを着て、爽やか好青年の彼は、見惚れる様な綺麗な笑顔を浮かべている。
顔は嫌そうに眉根を寄せているのに、心臓が高鳴ってる自分がつくづく嫌だ。


「ここはアンタの家じゃないわ。さっさと帰りなさい」

「そんなことを言うな。俺にも飯を作ってくれないか。腹がぺこぺこなんだ」


クロロは私のきつい言葉にも動じずに、更に言ってくる。
私はそれを無視して、ドアの前にいるクロロも無視して家に入ろうとした。
そうしたら、腕を掴まれた。


「何よ」

「お願いだ。頼む」


クロロは私の腕を掴んだまま、じっと見てくる。
その目は暗くて、でもどこか見放さないでと寂しげで。
寒さに震えている子犬を連想させるその表情に、うっとくる。
演技なのはわかってるが、そういう表情をされると私は弱い。
それが顔に出たのか、さらにこちらを見て畳みかけてくるクロロ。


「…あ、アンタその年で自炊もしないわけ。ほんっとどうしようもない男ね」

「ナマエの作る飯が好きだからな、作る気が起きないんだ」


無理矢理毒づいた言葉は、返り討ちにされた。
今度は一転、にこっと笑うクロロ。
だ、騙されないぞ。
私は他の女の様に、ころりとは、いか、ない…。







「ご馳走様。今日もおいしかったよ」


結局、家に入れてしまった。
また今日も、家に入れてしまった。
表には出さないように、内心でがっくりとうなだれる。
これで何回目かは、もう数えない。


「お粗末様。そりゃあ良かったわね」


でも、クロロの笑顔を見ると、そんなことどうでもいいとどこかで思ってしまう。
おいしいって言って笑ってくれることを、すごく嬉しく感じている自分がいる。
ああ、結局私はこうして利用されるだけの女に成り下がるんだわ。


「ビーフシチュー、俺好きなんだ。だから今日は特においしかった」


笑顔のまま、クロロは言う。
あー……。
私は頬杖をついたまま、目が離せなかった。
…今日は、自棄酒でもしよう。
そうだ、それがいい。こいつが帰ったら酒を飲もう。


「何だ?酒を飲むのか?ならば付き合うが」

「!な、何でわかるのよ!声に出してないのに」

「顔を見れば、わかる。ナマエはわかりやすいからな」


そう言って少し笑むクロロは楽しそうで。
心臓が高鳴った。





(明日も一緒に)



「ああ、ナマエ」

「何よ?」

「俺が酒を飲むのまで付き合うのは、好きな女だけだ」

「…!」


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110104
初HUNTER×HUNTERです!
先にイルミをあげる予定でしたが、難航したのでクロロを←



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