1/1 俺のビッグサプライズ。 名前は受け止めてくれるよね? 今日は俺の恋路の成功のために、皆に待機所には来ないように頼んだ。 綱手様にもちゃんと訳を話して納得してもらった。 部屋を出る間際に綱手様が「カカシにはこれからたくさん任務を…」などとぼやいていたのはきっと幻聴だ。 名前、もう任務終わったよね? 待機所に、いるよね? 今更ながら不安になる。 俺は待機所の外で中の気配を探る。 よかった。名前の気配がする。 嬉しくなって自然と頬が緩んだ。 はやく中に入ろう。 「名前、いたんだ」 ガチャっとドアを開けて知らなかったように言う。 「カカシ!?」 名前はかなり驚いたようで、ぐるんと音がつきそうな勢いで振り返った。 「どうしたのよ、そんなに慌てて」 「いや…、みんな帰って来ないから大丈夫かなって心配してたら、カカシが来たから」 本当に心配そうな顔をしている名前に、俺は安心させるように笑う。 「今日はねぇ…特別だーよ。名前はもう待機だけ?」 「そうだよ。カカシは?」 「俺もだーよ」 今度は俺の今の気持ちを顔に示した。 若干名前の顔が赤くなった気がするんだけど、気のせい…じゃないよね? 「外見てたの?」 俺は名前に近寄りながら聞く。 「うん。暇だったから」 名前は頬杖をつきながら答える。 外は赤くて眩しい。 「今日は綺麗だーね、空」 「そういえば、昨日は曇ってたよね」 俺は前から気になってたことを聞いてみた。 「ね、名前は好きな人とかいるの?」 突然聞いた俺に名前はすごく驚いている。 だからだろうか、どもりながら答えてくれる。 「い、いるにはいるよ」 「へえ。誰?」 「内緒」 「えー」 俺はしょんぼりうなだれてみた。 「それ…おじさんがしても可愛くない」 名前は目を細めてぼそっと言う。 「ひどっ!今のは傷つく」 結構本気で傷ついたーよ。 「カカシは…好きな人いるの?」 今度は名前が真剣な顔で聞いてきた。 お、俺が誰か好きな人がいるのか気になるのかな。 嬉しいね。 俺はわざとはぐらかすように言った。 「ね、今みんながいないのは何でだと思う?」 「任務じゃないの?」 「ちがーうよ」 「じゃあ何なの?」 「俺の誕生日プレゼント」 「は?だってカカシの誕生日まだ先じゃない」 俺の言葉の意味がわからないようで、名前は本気で顔にはてなを浮かべている。 「俺と名前の任務が少ない日は今日だけなんだよ」 「それが誕生日プレゼントと何か関係あるの?」 気づかないか。 「全く鈍いねえ、名前は」 俺が思ったことを言えば、名前は怒ったように 「わ、悪かったね鈍くて!それよりはやく教えてよ」 と言った。 「だから、俺の誕生日プレゼントは、名前と二人っきりになることだーよ」 「私と二人っきりになってどうするの?」 ねえ、全部言わないと伝わらない? 本当は、わかってるんでしょ? そこまで名前、鈍くないよね? 「わかんないかなー」 「わかんないから聞いてるの!」 本人は気づいてないみたいだけど、名前の顔は若干赤くなっている。 あらら、本当はわかってるんじゃないの。 それなのに言わせようとするなんて、可愛いね。 名前の欲しい言葉、ちゃんと言ってあげるよ。 ま、元々言うつもりだったしね。 だから俺の欲しい返事を、ちゃんと返してね? 結局、名前は何も言ってくれなかったけど。 ギュッて抱きしめかえしてくれたから、許そうか。 二人っきり (ずっと前から好きだったんだけど) (それは気づいてないかな?) ← 戻 → |