1/1 ねえ、カカシ。好きだよ。 上忍待機所にて。 私の今日の任務は全て終わり、あとは待機解除を待つだけだった。 暇だな… まだ他の忍は任務が終わらないようで、部屋には私だけ。 暇だよ… いつもは誰かしらいるから、こういう場合何していいのかわからない。 何もすることもなく、ぼうっとしていたら、アスマの担当している下忍の男の子を思い出した。 そうだ。あの子に倣って空でも眺めようかな。 上を見れば空は赤くなり始めていて、今が夕方なのを教えてくれる。 みんな…無事かな… 心配になったその時、 「名前、いたんだ」 ガチャ、とドアが開き、カカシがいつもの笑顔で手を上げて入ってきた。 「カカシ!?」 カカシの突然の登場にドキドキして、焦った言葉が口から飛び出る。 「そーだよ?どうしたのよ、そんなに慌てて」 「いや…、みんな帰って来ないから大丈夫かなって心配してたら、カカシが来て…」 「今日はねぇ…特別だーよ。名前はもう待機だけ?」 「そうだよ。カカシは?」 「俺もだーよ」 にっこり、素敵な笑顔で私に笑いかけてくる。 うわ…そんな顔向けないでよ… 心臓がうるさい。顔が熱い。 「外見てたの?」 カカシが私に近寄りながら聞いてくる。 今待機所内は私とカカシの二人だけだから、近くに来るのもわかるけど。 やばい。ドキドキしすぎて死にそう。 「うん。暇だったから」 さらに赤くなった顔の赤みを知られないように窓枠に頬杖をつく。 「今日は綺麗だーね、空」 「そういえば、昨日は曇ってたよね」 「…ね、名前は好きな人とかいるの?」 私の気持ちを知ってか知らずか、突然聞いてくるカカシ。 驚いてどもりながら答える。 「い、いるにはいるよ」 「へえ。誰?」 「内緒」 「えー」 カカシはしょんぼりした風を見せる。 「それ…おじさんがしても可愛くない」 「ひどっ!今のは傷つく」 「カカシは…好きな人いるの?」 私が思いきって聞いてみれば、カカシはとんでもないことを言い出した。 「ね、今みんながいないのは何でだと思う?」 「任務じゃないの?」 「ちがーうよ」 「じゃあ何なの?」 「俺の誕生日プレゼント」 「は?だってカカシの誕生日まだ先じゃない」 「俺と名前の任務が少ない日は今日だけなんだよ」 「それが誕生日プレゼントと何か関係あるの?」 私がそう言うと、カカシははぁとため息をついた。 「全く鈍いねえ、名前は」 「わ、悪かったね鈍くて!それよりはやく教えてよ」 「だから、俺の誕生日プレゼントは、名前と二人っきりになることだーよ」 カカシは普段とは違う笑顔で私を見つめる。 それ…本気、なの? そんなこと言われちゃったら、期待しちゃうよ… でも、私は気づかないふりをして言葉を紡ぐ。 ずるい、かな。 「私と二人っきりになってどうするの?」 「わかんないかなー」 「わかんないから聞いてるの!」 ウソ。本当は気づいてるよ。 でも、勘違いだったら怖くて。 あなたの口からちゃんと聞きたいの。 「ふう、仕方ないね」 カカシは私をゆっくり抱きしめた。 「俺は、名前が好きなんだーよ。わかる?」 その言葉に顔が熱くなる。 私は何も言わない代わりに、カカシを強く抱きしめ返した。 二人っきり (私もあなたが好き、カカシ) ← 戻 → |