1/1 今日の待機所は、人がいっぱいいる。 私は座ってぼうっとしていたけど、カカシさんが何をしているのか気になってちらりと見てみた。 アスマさんと紅さんと何かお話してたみたい。 う、目が合った。 恥ずかしくなって、すぐに目を逸らす。 あ…今のは変だったかな? あからさますぎた? き、嫌われたりしないかな? 気になって、またちらっとカカシさんを見る。 が、カカシさんはもうこっちを見ていなかった。 よ、良かった。 もしまだ見られてたら、恥ずかしくて死んじゃうよ。 「でもちょっと…悲しいな……」 すぐこっちを見なくなったってことは、カカシさんは私のこと何とも思ってない証拠だもん…。 「はぁ…」 「何が悲しーいの?」 「!?」 隣から声がした。 びっくりしてそちらを見れば、大好きな怠けた顔。 「え…あ……」 「? 大丈夫?」 急に顔を近づけられ、びくっとなる私の体。 「あ…ごめーんね」 それを見て、苦笑いして距離を戻す彼。 「わ、私こそごめんなさい……」 失礼なことしちゃった! 私の馬鹿! 「あのっ…カカシさんは悪くないのでっ…!」 「くくっ、りょーかい」 精一杯言ったら、カカシさんは何故だか笑っていた。私はきょとんとする。 何か面白かったのかな…? でもカカシさん、あんまり傷付いてはいないみたい。 ホッと息をついたら、カカシさんは私を見て、 「で、何が悲しいの?」 「っ!」 優しくのぞきこむ瞳に、思わずたじろぐ。 い、いきなりそんな目を向けないでほしい…。 「あ…あの……!!」 恥ずかしさと緊張と混乱で言葉が何も出なくなる。 ま、まずお、落ち着こう自分! 「顔真っ赤だーよ。大丈夫?」 「は…はい…」 何とか、ぐるぐる湯だった思考回路のまま返事をする。 「ゆっくりでいいからさ、言ってみて?」 「あの…えっと、」 …あれ? 私が思ってたことって、カカシさんがすぐに私から目を逸らしたことが悲しかったってことだよね。 それを本人に言わなきゃいけないの!? 「あの…あんまり、言いたくないことで……」 語尾がどんどん小さくなる。 「悲しいことだから?」 「そ、そうですね…」 ってカカシさん!? 距離が異常に近いんですけど! 気付いたら、目と鼻の先にカカシさんの顔があった。 いつの間にそんなに近づいて来たんだろう。 さっきまでは普通の距離感だったのに。 間近でにこっと笑われて、一気に恥ずかしさが込み上げた。 と、とりあえずゆっくりバレないように後ろに下がろう。 とん そろそろと下がっていたら、冷たい感触が背中に伝わる。 「!!」 冷たい感触の正体は壁だった。 う、嘘! 目の前にはカカシさん。 後ろは壁。 何この状態!! 「ねぇ、名前?俺に話してみてよ。何か力になれるかもしれないし」 「う…あ……」 吐息が顔にかかるくらいカカシさんが近い。 しかもカカシさんは壁に手をついて私を挟むようにしているから、横にもずれられない。 恥ずかしい。 何にも考えられない。 あれ…カカシさんの顔が二重に見える…… 「名前!?」 ぱたりと俺に倒れ込んできた名前を抱き抱える。 顔が真っ赤だ。 「ちょーっとやりすぎたかねぇ…」 「名前はヒナタと同じくらいの、かなりの恥ずかしがり屋だって知ってるでしょ。あんた何考えてんのよ」 近付いてきた紅が、開口一番そう言ってきた。 「はは…悪いことしちゃったね」 「目覚めたら謝んなさいよ」 「わかってるよ」 俺を見て溜め息をついてた名前が気になって、しかも可愛い反応されちゃったから名前いじりが止まらなかったんだけど。 「まさかこんなにとはね」 名前の真っ赤な顔を見つめながら、ぽつりと漏らす。 もっと、じっくりゆっくり攻めますか。 焦れったいけど、また失神されちゃたまんないからね。 「早くキスしたいもんだね」 同じ好き同士なのになぁ。 恋愛って難しいね。 好き同士なんだけれども (上手くいかないのも恋愛の醍醐味?) ◆おまけ 「ん…」 「おはよ。目覚めた?」 「カカシさんっ……あれ?膝枕…!?」 「そうだーよ。枕ないし…って名前!?」 「カカシさんの膝枕…」 名前、本日二度目の失神。 110624 ← 戻 → |