NARUTO短編 | ナノ


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名前は読書が好きだ。
待機所では、ずっと本を読んでいる。
かさりと、その細くて長い指がページをめくる。
眼鏡の奥にある優しい感情を、いつもより少し溢れさせて、ゆっくり、ゆっくりと。


「それ、そんなに楽しいの?」

「! カ、カカシさん」

「どーも」


手を上げてお決まりの挨拶をする。
俺が隣に座ったことに、どうやら気付いていなかったようだ。
本好きだからしょうがないのかなと思いつつ、若干寂しさを感じる。


「何読んでるの?」


だがそんなことをおくびにも出さず、名前の茶色い目を見ながら聞く。
頬を赤らめているのは、あまり男性慣れしていないからなのだろうか。


「恋愛ものです」


言いながら、ちらっと表紙を見せてくれた。
そこには、俺も知っているタイトルが書かれてあった。


「俺もこれ知ってるよ。読んだことないけど」

「本当ですか?これ、とってもいい話ですよ」

「どーいう内容なの?見せて」

「っ!」


名前に近付いて、活字を目で追う。
名前の顔はますます赤くなった。


「こーいうのが好きなんだ?」


現実ではなかなかやれないような、言わばべたべたな恋愛小説から名前に視線を移した。


「はい。べたですけど」

「そうだーね。あ、この話の主人公も眼鏡なのね」

「そうなんですよ。親近感湧いちゃって。だからこんなに好きなのかも」


ふふっと嬉しそうに笑う名前に、思わず胸が高鳴った。
その顔は反則でしょーよ…。


「にしてもロマンチックだねーこのシーンとか」


俺は悟られないように平静を保ちながら、名前の開いているページの一部分を指差した。
主人公と男が想いを寄せ合うシーンだ。
男が主人公の眼鏡をそっと外し、甘い言葉を囁いてキスをする。
二人はたっぷり見つめ合って、晴れて恋人になる。
名前はうっとりとした表情を浮かべた。


「私、そのシーンすごく好きなんです。眼鏡の距離すら遠いから外すよって、そのくらい人を好きになることってあんまりないと思うから。密かに憧れなんですよ」


恥ずかしそうに笑う名前。
気付いたら勝手に言葉が出てた。


「…それさ、俺がやったらだめ?」

「え?」


名前の眼鏡に手をかける。


「ちょ、カカシさ…」

「嫌なら言って?やめるから」


眼鏡を外して、素顔の名前をさらけ出す。
真っ赤な顔で俺を見る名前の目は、困惑でいっぱいだった。


「からかうのはよして下さ…」

「からかってなんかなーいよ。これでも本気」

「……はい」


か細い声で、震えながら静かに目を閉じた名前に煽られながら、


「…ずっと好きだった」


耳元で囁いて、ゆっくりと唇を合わせた。




(外しちゃえば大丈夫)



「夢みたいです…。私もカカシさんのこと、ずっと好きでしたから」


嬉しい、と涙ぐみながら笑う名前に、もう一度キスをした。


「現実だーよ。ね?」

「…はい」



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100915
誕生日記念でした。
おめでとう!カカシ先生!

二人のくっつくシーン急ぎすぎたかな…。



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