NARUTO短編 | ナノ


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「イタチ…」

私が呼んでもイタチは振り向かなくて。

それは、イタチがもう行くことを意味していた。


「俺は行かなければならない。
もう会うことはないだろう…」

「イタチ…」


彼の後ろ姿を目に焼き付けるように見る。



“次で最後だ”
そう言われた時、私は初めて自分の気持ちに気付いた。
気付くのに遅すぎたこの気持ちを、私はイタチに伝えられなかった。
だって、イタチはそれを望んでないから。


目の前にいるはずなのに、イタチの後ろ姿は遠い。



「本当に…行くんだね」

「ああ。…俺は、お前とは生きられない。
最初にそう言ったはずだ」


ざあっと風が吹く。


私だってあなたと一緒に生きられるなんて思ってなかった。
浅い関係で終わると思ってた。
いつかイタチは、うちはサスケの前に現れるから。
私の所にずっといられないことを知っていたから。
そんな人を好きになるほど、私は純情じゃない。

なのに、気付いたらいつの間にかのめり込んでいて。
イタチが来ない日は、ため息の嵐で。
イタチが笑った日は、彼をもっと好きになる日になった。



「イタチ……」


“行かないで”



一番言いたいことを言えなくて、思わず暁のマントを掴んだ。



「…名前」


イタチが鋭い声を発する。


それでも、私の名前を呼んでくれたことが嬉しくて。

いつまでもそのままでいる私に、イタチは私の方を向いて、慣れた手つきで私を軽く抱きしめた。
いつもしてくれたみたいに、名前を呼んでキスはしないで。



それが、彼の答えだった。



最初っていたのに
(それでも私はあなたが好きです)



「…名前と過ごした日々、楽しかった」


その言葉に顔をあげたら、イタチの笑顔があった。


「…イタ、」


私が名前を呼ぼうとしたら、イタチの姿は既になくて。


「イタチ…」


暁のマントを掴んでいた手は、むなしく空を握っていた。

残ったのは微かなぬくもりと、彼をもっと好きになった、痛いくらいのこの気持ち。



私は今日も、あなただけを


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