NARUTO短編 | ナノ


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ねえ。
君の目に、俺はどう映ってる?
ただの仲間?
それとも……


「名前」

「あ、カカシ」


待機所に入ると、名前が雑誌を読みながらコーヒーを飲んでいた。
こっちを見て、ふわりと笑う。



―そんな顔して、俺の心臓を壊すつもり?



なんて本気で考えてる辺り、俺は名前に相当やられてる。


「はいカカシ。コーヒー」

「ありがとう」


名前の向かい側に座って、君の仕草を見つめる。
俺の視線など気にせずに雑誌を読み続ける名前。

さらりと髪を耳にかけ、艶やかな足をすらりと組む。

不意に雑誌から顔を上げ、

「さっきから私の方見てるけど…何かついてるの?」


なんて上目遣いで問われれば。


俺の理性はあっという間に粉々に打ち砕かれる。



に首ったけ
(毎日毎日、君だけを想って)



「…いや、何でもなーいよ」

「? ふうーん…」


何とか笑って誤魔化す。

俺の気持ち…バレてないよね?
自信が持てなくて告白出来ないだなんて、一体いつぶりだろうか。
もしかしたら初めてかもしれない。

俺を振る女は今まで一人もいなかった。
容姿などに関しては、多少の自信も持っている。

なのに、名前に対しては全く自信が持てない。
むしろ、告白して振られてしまったらどうしようと言う不安さえ生まれるほどだ。

こんな風になることは初めてで、すごく戸惑う。
俺は生まれて初めて本気の恋をしているのかもしれない。


「カカシ」


名前が俺を呼んだと思ったら、彼女の顔が目の前にあった。



だからに首ったけ
(ああ、本当に心臓壊れそう)



カカシは何を考えているのだろう。
私は雑誌を読みながら思案する。

こっちをよく見てきて、何かと問えばはぐらかす。
急にそわそわしたり、あのいつも持っている本を逆さまに読んでたり。
本当に、何なのかな…

ここは聞いた方が早いよね。
単刀直入に聞けばカカシも教えてくれるはず。


「カカシ」

「ん、な、何?」

「何でいつもこっちを見ているの?」

「え?」


明らかにうろたえているカカシ。
目が泳いでる。


「毎回私に埃とか抜け毛ついてるわけないし…何か言いたいことがあるなら、はっきり言ってほしい」

「え、あ、だから…その…」

「何?はっきりしてよね」

「だ、だから、俺は名前が好きなんだ!」


若干叫んだように言ったカカシに、私は言葉を失った。



が首ったけ
(顔真っ赤だよ、カカシ)



「………」


無言で目を瞬かせる名前に、急に現実的になった。

何で言っちゃったんだろう。
勢い余って言ってしまったけど、嘘つくとかしてでも言うべきじゃなかった。
言わなきゃまだ良い関係でいれたのに。
名前の反応からして、きっと彼女は俺のことを好きじゃない。
あーあ、何て馬鹿なことをしたんだろーね…


「か、カカシ」

「…何」

「私のこと好きって、本当?」

「…本当だよ」

「そう」


名前はそれきり黙った。
気まずい沈黙が流れる。


だめだ、今日はもう帰ろう。
俺は立ち上がった。

明日からも相当気まずいだろうけど、とりあえず今はここから逃げたい。
今晩はテンゾウを付き合わせて飲みに行くかな…ついでに奢らせよう。


「帰るの?」

「うん」


名前はぎこちなく聞いてきた。
あ、これ結構ガツンとくるね…
胸の痛みが増した気がした。


「そっか。…あ、カカシ忘れ物」

「何? …ッ!」


ぎこちなさが消えた名前の声に振り向けば。



は首ったけ
(まさか名前からキスしてくるなんて、)



「…じゃあ、また明日ね」


名前はウインクをして手を振った。


「それ…返事ってことでいいの?」

「え?なあに?
カカシは用事があるから帰るんでしょ?返事をするには、今は時間が足りないよ。
だから、明日言ってあげるね」


本当は用事なんてないこと、分かってるくせに。
わざと知らないふりをして、してやったりの満面の笑みを浮かべている名前に、今度は俺からキスをしてやった。



やっぱりに首ったけ
(どんな君も好きだよ)


このあとはご想像にお任せ!


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