1/1 寒い朝、真っ白い何かが空から降ってくるのを見つけて、私はベッドから飛び起きた。 あれってもしかして…!! 興奮して足をもつれさせながら窓に近づく。 外は一面雪で真っ白だった。 やったあー!! 「見てみて!雪だよカカシ!!」 「ん、ほんとだーね」 私のはしゃいだ大声に、カカシは返事と欠伸をしながら私の横に来る。 「あ、おはよっ!」 「おはよ」 今気付いた、というような私の挨拶に苦笑気味に応えた。 何故私がこんなに興奮しているかというと。 私たちが付き合い始めて初めての冬。 そろそろクリスマスと言う、恋人たちのビッグイベントが間近に迫っているのが感じられて、すごくわくわくするのと。 もうひとつ、一番大きな理由が、カカシと雪だるまを作りたかったから。 ずっと、好きな人と雪だるまを作って玄関に飾るのが夢だった。 小さい頃にテレビで見たそれがすごくラブラブに見えて、ずっと憧れてた。 今日やっとその願いが叶う! そう思ったらにやけっぱなしだった。 雪も夜の内に大分降ったのか、結構積もってる。 「ねっ、雪だるま作ろうよ!」 「いいよ。そういえば、名前、ずっと作りたいって言ってたよね」 にっこり笑いかけてきたカカシに思わず顔を赤らめた。 朝から…かっこよすぎだよ。 「う、うん! じゃあはやく顔洗わなきゃ!」 どたどたと走る私に、カカシは表情を苦笑に戻した。 「きゃー冷たいっ」 「元気だーね」 手袋越しの雪の冷たさに手を引っ込める。 けど、嬉しくて。 思わずふふっと笑う。 「どうしたの?」 「あの、ね。本当に嬉しいの」 カカシと、あの憧れだった、大好きな人と雪だるまを作れることが。 ほんとに、本当に嬉しい。 「…俺も、嬉しいよ。名前がそんなに憧れてたことを、俺が一緒にできるなんて」 そう言って笑ったカカシに、どきんと胸が高鳴った。 「…ありがと」 カカシがぼやけて見えたけど、気にせず笑った。 「カカシ、胴体できたー?」 「ん?もうちょっとかな」 今、私たちは分担作業で雪だるまを作っている。 カカシが胴体で、私が頭部。 「でーきたっ」 ふふん、これは改心の出来映え! ちゃんと丸くできたし、かなり上出来。 「俺もできたーよ」 カカシの方に振り返ると、私の作った頭とサイズがぴったりの胴体があった。 そういえば、私サイズなんて考えてなかった。 カカシ、わざわざ合わせて作ってくれて… 「名前?」 「ん、ん?!何でもないよ。 はやくくっつけよ!」 二人で、お互い出来上がった物を乗せる。 結婚式のケーキ入刀みたいだね、って笑った。 恥ずかしいけど。 それもいいな。 「名前〜」 カカシが後ろから私を抱きしめる。 「きゃっ」 びっくりして思わず普段出ない声が出る。 「ちょ、カカシ、まだ雪だるま玄関に移動してな…」 「うわ…すごい手冷たい。俺が温めてあげる」 私の言葉を無視して、カカシは私の手を優しく握りながら耳元で囁く。 何これ…すごく恥ずかしい。 心臓がうるさい。 「名前、耳赤いよ?」 「う、うるさいなっ!気のせいだよ」 本当は耳どころじゃないんだけど、後ろから抱きしめてるからわからないみたい。 「カカシの手、温かいね」 「でしょ?」 カカシは嬉しそうに笑う。 私は、握られている手に力をこめた。 「…しばらく、こうしてよっか」 「うん!」 カカシの言葉に、私はとびっきり笑顔になった。 雪だるま (ほら、また雪が降ってきたよ) ◆おまけ 「ここでいいかな?」 雪だるまを玄関まで移動させる。 「今日はありがとね、カカシ。 …大好きだよ」 小声で呟いたそれを聞き逃すはずもなく。 ねえ、名前。 それは、 「…名前」 「ん?何……ッ!」 それは、反則過ぎるよ。 雪だるまは幸せそうに笑って二人を見ていた。 ← 戻 → |