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双子とアルバム

リビングでうつ伏せに寝転ぶ私の上に被さるように寝転んだツムくんと一緒に宮家のアルバムを見ていた。
手元のアルバムには私がまだ出会う前の双子の写真が数多く収められていて、それらすべてに宮ママの一言メモがあるから見ていて楽しい。


「本当にかわいいな〜!ツムくんたち昔から分け目変わってないんだね」
「せやから俺と子供作ったら、そのかわええ子が産まれるんやで!ええやろ?」
「ツムくんさっきからそればっかり……」


ツムくんが写真を一緒に見てくれていたのは最初だけで、今はアルバムに見向きもしていない。
頭を撫でるだけだったのに途中からずっと髪の毛とか頬、首筋にちゅっちゅっ音を立てながら唇を落としている。
しかも、写真を見て可愛いと言う度に子供作ろうとか言ってくるし……てか私たちまだ高校生なのに。
キッチンにいる宮ママからは「昔はあんなかわええ子供やったのに、今は図体も態度もデカイ子になって……」ってため息まじりの言葉が飛んできた。
苦笑いしながら宮ママの話を聞いていたら、玄関からサムくんの声が。
お使いから帰ってきた!


「(名前)帰ったで〜……って随分重たいの背負っとるな。今退けたるわ」
「蹴んなアホ!なんやねんっ!」
「首っ!首絞まってるツムくん!」
「ほっんまにコイツ邪魔やわ……(名前)なに見てるん?……俺らのアルバム?そんなんより(名前)の見ようや」


その言葉に反応したツムくんは体を揺らして見たい見たいと声を弾ませた。
……そういえば見せた事なかったっけ?アルバムがどこかお母さんに聞かないと。
スマホを取ろうと上に乗っかるツムくんに声をかけたら、腕の力が緩んだタイミングでサムくんが動いた。
両腕を掴まれてサッと素早くツムくんの下から引き抜かれた。
そのままの勢いでサムくんは私を腕の中にすっぽりと収めた。


「やっと腕ン中に(名前)がきたわ。乗っかられて重かったやろ?よしよし……いっぱい撫でたっ、るかっ……ツム手ぇ離せや!」
「俺が(名前)とイチャイチャしてんねんからっ、邪魔すんなや!」
「えっと、アルバムは見るの?見ない?」
「「見る!」」


揃った返事を聞いて、スマホを見ればお母さんから「すぐ出せるよ」との返信。
伝えれば嬉しそうに擦り寄ってきた双子を連れて家に帰れば、お母さんがニコニコしながら私たち……というか双子を出迎えた。
すでに用意されていたアルバムを見つけた双子に急かされ、間に座れば膝に置かれてまた急かされたから表紙をめくる。
その中には私が産まれた時の写真からだんだんと成長していく過程が収められていた。
……双子は見ているすべての写真に「かわええ」しか言わなくなって、なんだか恥ずかしい。


「もう少しで2人と会えるね」
「せやな!あとちょっとで俺らと(名前)が運命の出会いをするんやな……!なんやドキドキしてきたわ」
「次、次はよめくってや!」


テンションが上がっている双子に小さく笑えば、左右からぎゅうっと抱き締められた。
さらに、頬やこめかみにちゅーされる。
くすぐったさに身を捩りながらページをめくった時、双子が1枚の写真を凝視して……そして絶叫した。
アルバムを持ち上げて見つめる双子の視線を追っても、何を見てこうなったのか私には分からない。
だって、そこに並ぶ写真は私の幼稚園時代のものしかないんだもん。


「ちょっ、ハァ!?絶対そうやろ!」
「しかも手ぇ繋いどるやん!え、嘘やろ!」
「手?……あ、でもまだ2人と会う前だったしその、」
「この癖っ毛に一番はココやココ!眉上のホクロ!2つ!決まりやん!」


双子が指さす写真を見てみる。
……あ、れ?ここに写っている男の子には見覚えしかない。
でもこの頃の記憶は正直言ってないよ。見覚えあるのは、この風貌のまま大きくした人だから……。
パタンと大きな音を立てて閉じられたアルバムが膝に戻ってきた。
ジトっとした目で見られても覚えてないものは覚えてないもん。
それこそお母さんに聞かなきゃ分かんないよ。
そう伝えれば双子は複雑そうな顔をしていた。
でもそれも一瞬の事で、アルバムを抱えて真相を聞きにお母さんに突撃していく双子の行動の早さに私はただ背中を見つめるだけしか出来なかった。






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