サラサラの髪に顔をうずめて私は子供のように泣きじゃくる。聞いてよ聞いて、あの子が私と君の関係を悪く言うの。あの子ってどいつのことだ?彩子を泣かす奴は女だろうが容赦しないぜ?それはダメだよ。私なんかのために一郎太が悪者になるなんて。
風丸一郎太は、彼女のことが誰よりも愛おしいのだ。彼女のためなら彼女を悪く言う奴は全員死ねばいいと思う程に。

「綺麗な髪の毛なのに、汚しちゃってごめんね。」
「彩子の涙なら汚れたって構わない。また明日何かあったらすぐに言うんだぞ?」



待ち合わせの河川敷、彼氏の一郎太はいなかった。いつもなら行けない日はメールをくれるのに、と疑問に思った。何故か一人の登校風景が滲んで見えた。

「彩子」
「一郎太?」

教室に着けば一郎太はいた。水色の綺麗な髪を一つに纏めて、学ランを着たいつも通りの彼氏だった。
けれど、少し纏っている空気が張り詰めているような感じがした。

「先に行って悪かったな。ちょっと用事があって」
「私は大丈夫だよ。でも、一郎太、何だか疲れてるみたい。大丈夫?」

そう言って一郎太の手を取り握る。あれ?何だか手が冷たい気がする。

「俺も大丈夫だから今日も一緒に帰ろう。彩子と一緒にいたいんだ」

何言ってるの?毎日一緒にいるじゃない。違う、違うんだ。俺は彩子との約束を破ったから。約束?約束って何のこと?

「…彩子は思い出せないよな。いや、思い出さなくていい。ずっと俺と一緒にいよう。」

一郎太の学ランに涙のシミを作ってしまう程、泣いてしまうなんて、一体私は一郎太とどんな約束をしたの?思い出さなくていいなんて言わないで教えてよ。私は君と何を約束したの?



「彩子の愛は狂ってる。けど、そんな彩子のことを一番愛おしいと思える俺の方が狂ってるんだろうな。」

水色の髪の彼氏は、サラリと彼女の髪をかきあげて額にキスをし眠りについた。



水色に沈む、藍に溺れる

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