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 そんな彼女が、今日は自分から虎徹の衣服を寛げ、自分の意思で虎徹の性器を咥えているのだ。その事実だけでも達せそうだ、と虎徹はぼんやり考えていた。
「っ…はぁ…きもち…」
「んぅ…っん、はふ……ん…」
 限界が近づいてくるにつれて、自然と虎徹の腰が揺れた。それに比例するかのようにキャンディを操作する手つきも荒いものになっていく。ぐちゅぐちゅという卑猥な水音は、もはやどちらの股間から響いているのかわからない。
「…ごめん、バニー」
 一言断ってからキャンディをいじる手を引っ込め、バーナビーの後頭部を引き寄せた。苦しそうに眉を寄せる顔に申し訳なさを感じるが、一度動いてしまうともう止まれなかった。
「んぐ…っ!んー!んんぅっ!」
「う、わ……めっちゃ締まる…っ!」
 口の奥を刺激する度えづきそうになるバーナビーの喉に先端を絞られて、虎徹は思わず呟いた。はっ、はっ、と獣のように呼吸しながら本能のままにバーナビーの口内を犯す。
「イ、く…っ、んっ…!」
 流石に口の中はマズい、とギリギリのところで性器を引き抜いた虎徹だったが、その際に強く閉ざされたバーナビーの唇に幹を絞られてあっさりと限界が訪れた。
 手の中に出そうと思っていた白濁が、全てバーナビーの顔面に注がれる。茫然としていたバーナビーは、目を開けているにも関わらず何の刺激も受けなかったことに「あぁ、まだ眼鏡をかけたままだった」と今更ながら気がついて眼鏡をはずした。
「ば、バニー?だいじょぶ?」
 ぼんやりとしているバーナビーの目の前で手を振りながら虎徹が問うた。大丈夫も何もあるか。顔も髪もベタベタじゃないか。おまけになんだか変な匂いがするし。
 唇についた精液を、反射的に舌で拭った。にがい。くさい。まずい。そんな単語が頭の中を行き交うけれど、最後に行き着いた言葉は「興奮する」だった。虐げられて感じてしまう部類の人間だったかと思いを巡らせながら、バーナビーは勢いを失った虎徹のペニスに指を這わせた。
「…これで終わりじゃないでしょう?」


 虎徹の両腕が再びバーナビーの体をベッドに横たえた。先ほどよりかは幾分か性急な動作でシーツに沈んだ彼女が戯れのような可愛らしい文句を呟く前に、両膝を持ち上げて秘唇を晒す。
 飴を引き抜いた蜜口を、今度は虎徹の舌が埋めた。甘ったるいイチゴ味のするそこを、音をたてて舐めしゃぶり、すする。バーナビーはそれに弱い。
「やらっ…ふぁ、あっ、こてっ……さ、んっ!…」
 膣口を広げるように蠢く舌は、まるで生き物のようにバーナビーの中へと押し入ってはずるりと抜けていく。キスでは気付かなかった虎徹の舌の長さに翻弄されるがままバーナビーは嬌声をあげた。
 ずるり、と再び厚い舌が入ってくる。限界までそれを押し込んだそれを更に奥まで突っ込もうと、ぐっぐっと圧力がかかる。淡い下生えに鼻を埋めるようにしてバーナビーの秘唇にぴったりと口を当てた。
「っ!?ひあ、あっ!あぅうっ…!」
 膣口からクリトリスまでをすっぽり覆ったままじゅるじゅると音をたてて吸い上げると、バーナビーの体が一際大きく跳ねた。下肢から体幹を這い上がって脳に叩き込まれる快感の鋭さにバーナビーは軽くパニックに陥り、虎徹の髪をめちゃくちゃに引っ張る。
「いててててっ!!ちょっとバニーちゃん!おじさん禿げちゃうっ!」
 突然の痛みに驚いた虎徹が顔を上げた。はっとしたバーナビーが顔を俯ける。痛みが残る頭皮をバリバリ掻きながら「めっ」と軽くバーナビーを咎めた虎徹が、沈んだ表情で謝罪する彼女へキスを贈る。「驚かせちゃってごめん」と虎徹からも謝って、そうして仲直り。
 恋人同士の甘いキスをそれから何度か交わして、バーナビーが落ち着いた頃合いを見計らってもう一度下肢に手を伸ばした。何度も何度も気持ち良くされているのに今日は一度も達していないそこはどろどろに濡れきっていて、指を当てただけでくちりと鳴く。
「こて、つ、さん…」
 切羽詰まった声でバーナビーが虎徹を求める。潤んだ翡翠の瞳が求めるものはただひとつ。無言の要求は虎徹にとっては物足りず、卑猥な言葉で苛めてやろうかとも画策したが、これ以上泣かせるのは流石に心が痛んだ。
 再びベッドサイドに手を伸ばす。口の開いたままの箱から正方形のパッケージを取り出し、口に咥えた。ビリ、と音をたてて包装が剥がれる。
 金の瞳を炯々と瞬かせて、今まさに獲物に牙を立てんとする虎が、長い舌で己の唇をべろりとねめつけた。





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