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(…なに考えてるんだ僕は)
すぐに別のことを考え、虎徹のことは忘れようとするも、忘れようと努めれば努めるほど虎徹のことが頭から離れなくなっていく。
正直にいうと、認めたくないがあの顔とこの匂いだけで欲情してしまった。
自分でも気が付かないうちに頭を擡げた自分の下半身に、心底呆れてしまう。
しかしこのまま虎徹がシャワーから戻ってきて今のこの下半身を見たら、どう思うだろう。
彼と自分は比較的プラトニックな付き合い方をしている。だからこんな状態の自分を見たらもしかしたら引かれるかもしれない。
何故今日に限ってこんなことになったのかはわからないが、なってしまったものは仕方ない。これだけは最後まで選択したくなかったとは思いつつも、他に良い方法が考え付かなかった。
バーナビーは虎徹の緑色のシャツを口元に宛がったまま、ズボンの前を寛げ自分の手をゆるりと自らの足の間に差し入れた。
既に硬くなってしまった自身を握り、そろそろと手を上下に動かす。
こんなことをしたのはいつ振りだろう。こういった行為は随分久しくしていなかった。
「…んっ……」
自分自身に触れると、びくんと身体が勝手に反応する。
目を閉じたまま、虎徹の温もりを脱ぎたてのシャツから感じながら、彼の匂いに包まれて、頭の中は他人に言えないようなものが潮のようにひたひたと満ちていく。
「あ…ぁ…、…ん…っ」
床やシャツを汚さないようにティッシュを2枚とり、先端を包むようにして握った。
前まではあり得ないことだったが、虎徹に抱かれるようになってからバーナビーは前だけでは満足出来なくなってしまっていた。
後ろからの刺激も無いと達せない、そんな身体に作り変えられてしまったのだ。
すっかり性器へと変わってしまった排泄器官に、1本指を差し込む。
「…ふ…、…ぁっ」
恐怖も感じるが、それよりも上回る快感にバーナビーは夢中で指を動かした。
穿たれる衝撃。内部を割り広げながら侵入してくる異物感。
その熱さ、在りすぎる質量を自分の脳内で虎徹のモノに変換しながら、触るだけで頭の中が真っ白になってしまう1点を探り当てた。
「あぁっ…あっ」
その1点を集中的に刺激すると、脚が勝手に大きく開いていく。
そんな自分にどうかと思いながらも、昇りつめていく己を止められない。
「…あぁあっ…!こて…つ…さ……虎徹さ…ん…!!」
あと一回そこを触れば絶頂が来る、そんなタイミングだった。
「な…っ!」
ソファーに座るバーナビーの背後から伸びた手が、爆発寸前のバーナビーのそれの付け根を強く握っていた。
「1人で何してんのかなー?」
低くてよく響く、身体の中心から熱くなるその彼の声で囁かれて、余計に頭の中は混沌としていった。
強制的に絶頂を抑えつけられ、バーナビーは苦しさで息を詰める。
「あ…っ、こて、さ……やっ…手……」
バーナビーはどうにか手を離させようとがむしゃらに身体を捩じらせる。
もがいても腕は緩めてくれない。もちろん、根元を握り締めている手の方も。
「ん…嫌…ぁ、…ぁあっ、……!」
羞恥心からなのか、それとも悦楽からなのか。
自分自身を高ぶらせていた時とは比べ物にならない程、身体が芯から、炎でも抱いたように熱くなる。
「なんで一人でシてたの?呼んでくれれば良かったのに」
「…引く、と…思って…ぇ…っ!」
そのバーナビーの答えに、虎徹は低く喉で笑う。
「引かねーよ」
虎徹が彼の耳元でそう囁くと、バーナビーは声だけで浅ましい反応を見せる。
高ぶった身体を持て余したバーナビーが、懇願するような表情を浮かべた。
「も……いい、でしょう…っ!」
焦らし過ぎたのか、今日のバーナビーは随分と可愛らしい反応を見せる。
虎徹がほくそ笑みながら触れていった彼の身体はどこもかしこも熱くなっていた。
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