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「おー。すっげーいい匂いする。」

「〜っ!…はい……」

鼻先で髪を掻き分けるように入り、スンスンと香りを楽しんでくる。
その擽ったさと、虎徹の香水の香り、そして首筋を掠める息に、思わず硬直した。

[最悪だ…疲れすぎだろ、僕…]

それだけの刺激で下半身を熱くさせた自身に呆れる。

「バニーちゃんのシャンプーもさ、いい匂いすっけど、やっぱサロンのシャンプーもいいよなあ。たまに嗅ぐとすげえイイ。」

「そう、ですよね。」

「まあ毎日これだったらどギツいかもしんねーけど。」

ふふ、と笑う微かな息にすらくすぐったさで息が詰まってしまう。
そういえばご無沙汰だったな、なんて思い出してしまい、更に体が固まった。

[こんな事ではしたない…落ち着かなきゃ…]

もう猿みたいに盛る年齢でもないだろ。
そう自分に言い聞かせ、冷たいコーラを流し込むバーナビーと反して、虎徹は鼻歌混じりにハンバーガを包みの上から潰して食べはじめた。
以前、この方が食べやすくない?なんて笑った彼にやめて下さいと注意したが、まだ直っていなかったようだ。
そうやって食べるとソースが垂れやすくなると教えたのに…

「ハハハ!こいつバカだなー!…ぁ。ん、ちゅっ…っ」

「!?」

パンとレタスの間からツゥとソースが流れ出る。

ほ、ほら、ソースが手に垂れたじゃないですか!
そのツッコミは音となって出る事は無く、バーナビーの腹の中で静かに叫ばれた。
親指を伝い垂れたそれを、テレビを見ながら何気なしに舐める。
それだけの仕種なのに、妙にエロティックに見えてしまって、赤面して目線を逸らす。

「なあバニー今の見たか?あのコメディアン、あんな格好で隠れてよー、」

「ハ、ハハ…慌てるからああなるんですよ。」

「だよなー。あ、でも俺もあの状況ならああなるかも。うわーやだなー。」

ドキドキと心臓を鳴らして意識しているバーナビーの事なんて気付いていないらしい。
また指を舐めてハンバーガを食べる。

嗚呼、駄目だ。何ともないと思っても、一度そうだと思うとそう見えてしまうらしい。
虎徹の食べる姿が全て性的に見えてしまうし、同時に首筋への感触が蘇って下半身がずうんと重たくなった。
チロリと舌を出してソースを舐めたり、指を軽く口に含み吸ったり、ちゅぱ、なんて音を立てたり…

「ごくん…」

思わず音を立てて生唾を飲み込んだ。

それを僕の首筋にもしてくれないかな。噛み付いて痕を残してくれてもいい。嗚呼、駄目だった。明日はグラビア撮影があるから体に痕は残せない。でも、虎徹さんに体中をガブガブと噛まれたいし、舐められたいし…はあ、疲れすぎなのかな、こんな簡単に勃ってしまって…
悶々と頭の中を駆け回る煩悩に悩まされながら、疲れているならさっさと寝よう。そんな雰囲気でもないのに勃たせている自分が恥ずかしい。

[はー…情け無い…]

先に風呂に入ろうとハンバーガを口に詰め込み、ポテトはあげます、と立ち上がる。
あまり虎徹を見ないように、彼に体を向けないように、と意識しながらバスルームへ向かおうとするが、その右手を取られてしまった。

「バニーちゃんってさ、まだまだウブだよな。」

「なっ…!?」

「カーワイー。」

俺、ポテト明日食うわ。
そうニヤリと笑いながら塩が付いた指を舐める彼に、カアッと顔が熱くなった。


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