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えらく気に入られた物だ、これならファイヤーエンブレムのバーに並ぶ日も近いだろう。

「じゃあ俺先にあがる……」

「僕が今入ってきたのにもうですか!」

「だって二人も浸かれないだろ」

「僕はシャワーでいいんですっ僕と二人きりが嫌なんですかぁ!」

バーナビーは色々な酔い方をする。甘えてみたり泣いてみたり笑ってみたり怒ってみたり。
他の人間がそこに居るときはまだ耐えているが、二人になった瞬間正体を現す。
誰も知らないこの姿は、愛されて心を許されている優越感。

――今日は甘えモードか?

虎徹は覚悟を決めた。
甘えが始まるとこの我が侭王子様はとにかく自分の要求を通したがる。

「そうじゃねえけど、時間……あぁもういいや、付き合う付き合う。ほら石鹸」

「泡立てて下さい」

シャワーの温度を調整しながら当たり前の様に言う。

仕方なく浴槽から手を出してスポンジに石鹸を擦り付けてホイップクリームの様に泡立てた。
バーナビーに目をやると、納得いった温度の湯に肌を打たせながら手ぐしで髪を鋤いていた。
濡れたブロンドが額や頬、首筋にはりつき、それは火照って赤みを増したバーナビーの桃色肌に映えている。

「……やば」

それは虎徹の欲情を刺激する。
いつも見ている筈のバーナビーの裸体。
職場やトレーニングセンターのシャワールームではいくら見ても何とも思わないそれが、淡く色づくだけでこんなに扇情的なのか。
若い肌を水滴がコロコロ滑る。
しっかり泡立ったスポンジを手に、虎徹は浴槽を出てバーナビーの後ろに回った。
既に生じた下心を抑えるつもりはない。

「体、洗ってやろうか?」

こくりと頷くのを確認して、シャワーを止めさせ柔らかなスポンジで右の肩を撫で始める。
無駄な肉が無く筋肉が張る細い肩。
骨も決して普通の人間より太いとは言えない。
ハードな戦闘に、時に能力無しで戦えるのは普段のトレーニングの賜だろう。

肩から背中までスポンジを這わせた頃、バーナビーは首を洗って貰う邪魔にならない様に後ろ髪を左手でかきあげうなじを露にした。

晒される白い生え際。
そこに泡の代わりに虎徹の唇が落とされた。

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