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「はぁ、もう飲めねぇ!」
虎徹がそう漏らす頃には、ファイヤーエンブレムから託されたワインと缶のカクテル4本、ビール3缶が空の状態。
ワイン半分とカクテル1本以外はほぼ虎徹の胃へと消えていった。
「……これだけ飲んだ、ら、そりゃ……もう飲めな……くなるでしょ……」
アルコールに然程強くないバーナビーは虎徹の飲酒スピードに釣られてピッチを上げすぎ、早々と床で火照った体を冷ましていた。
酔いの余り、上手く舌が回らない。
コルクを抜いてから1時間半。
虎徹は息をする様に酒を飲み、一方バーナビーはテイスティングの段階で軽くいい気持ちになった。
「食べ物入れてないから回りが早いんだよ。ツマミも買っとけば良かったな。
何かチャチャッと作ってやろうと思ってたのに、お前んち本当に食い物らしい物何も無いのな」
言いながら更に薄めに作った水割りを飲む虎徹を見て、バーナビーは「化物……」と呟く。
「もう飲めない、んじゃ、無かった……ですか」
「朝の事考えたらな、そろそろ止めとくかな」
「そうして……ください……」
「でもお前、俺で化物って言うならファイヤーエンブレムやロックバイソンとサシで飲んだら死ぬぞ?」
「…………」
「……バニー?」
返事をするのも辛いのか、それとも眠ってしまったのか。
とりあえずどちらにしてもひとまずベッドに寝かせようと虎徹はバーナビーの傍らにしゃがみ、抱き起こそうとした。
「ん、何、ですか……」
「気分悪くないか?風邪ひくぜ、ベッドまで抱いてってやる」
「いいです……ここが気持ち、いい……」
虎徹の手を払い、ベッタリと床に腹這いになる。
こうなったら何を言っても動かないのも経験済みだ。
「しゃあねえなぁ……バニー、風呂借りるぞ」
風呂から出る頃にはバーナビーはきっと眠りに就いている。
それから布団をかけてやればいいだろう。
「さっきトレーニング、の後、シャワーしたじゃないで……すかぁ」
「その後連続強盗犯捕まえに行っただろ、おじさん汗かいちまったの!バスローブも借りるな」
「も……ご自由に……」
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