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バーナビーが虎徹と同居を始めて5日目。
バーナビーはだいぶ参り始めていた。
最初の日の夜バーナビーは逸る心を抑えられないで待っていたのに、虎徹は挨拶をしてさっさと自分のベッドで寝ようとした。
慌てて彼の腕を引っ張り目で訴えたけれど、彼から出たのは的外れな言葉だけだった。
寂しいなら一緒に寝てやる、というそれに流されるがままに、バーナビーは虎徹に抱き締められた状態で寝るという耐え難い夜を過ごしたのだった。
それ以来5日の間、虎徹は夜バーナビーを抱き締めて寝る癖に一度も手を出して来なかった。

この関係になる事を受け入れてはくれたけれど、やはり内心では嫌だったのかもしれない。
バーナビーは男で虎徹よりも背が高く、性格も素直でないのだから当然の事だったのだ。
ただ虎徹が慈しむ様な瞳で笑うから、もしかしてと期待してしまった。
シャワーを浴びながらひっそりと涙を流す。
今日は虎徹が先に入ったから、風呂場には彼がいつも身に纏っているシャンプーだか石鹸の匂いが広がっている。
その匂いをかいだだけで胸の鼓動が早くなる。
恋だか愛だか知らないが本当に厄介な病気に罹ってしまったみたいだ。
風呂から出て部屋に戻ると虎徹が椅子の側にいて手招きしてきた。

「ほら、髪乾かしてやるから来い」
「…僕は子供じゃありません。それくらい自分で…」
「良いから良いから」

そのまま彼に促され半ば無理矢理椅子に座らされる。
ここ5日間の虎徹は少しおかしい。わざわざバーナビーが欲情するような事ばかりして、それなのに肝心な事はせずにすんでのところで止めるのだ。
される側はたまったものではない。

「痛かったら言えよ?」
「大丈夫です…」

今もだ。ドライヤーの音で声が聞こえないからか顔を近付けてくる。
バーナビーは顔が熱いのに気付く。彼に知られていないか気が気でなかった。
普段彼は乾けば何でも良い、ドライヤーなんかいらない、自然乾燥が一番という感じなのに、バーナビーの髪を乾かす手つきは優しくて調子を狂わされる。

「バニーの髪って柔らかいのなー…」
「…そ、そうですか…?」
「うん。それにすっげー綺麗な色。蜂蜜みたいだな」

そんな勘違いするような事を普通に言わないでほしい。
虎徹の手が耳元を掠るのがくすぐったい。
早く時間が過ぎれば良いのに、そればかりがバーナビーの頭の中を流れていた。

「ん、おっけーかな…」

次の瞬間、虎徹の手のひらがバーナビーの生え際をさすった。

「お、大丈夫だな!終わりだぜ」
その寒気にも似た官能にぞわりと体が震えた。
ほぼ無意識にバーナビーは虎徹の手首を掴んで布団まで連れて行くと、彼を押し倒して上に跨がった。

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