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虎徹が最中に、きつい、と言うことがバーナビーはよくわからなかった。
けれども、この締め付ける感触が“きつい”のだろうかと思うと、恥ずかしくなってまた無意識に締めてしまう。

「ぁあっぁ、ふぁ、っこて、つさ、っ」

『ホラ、反対の手もちゃんと動かして』

吐息を含んだ声で、もう名前を呼ぶのが精いっぱいで。
それでもまた見透かされたように、止まってしまっている手を指摘された。
ぐにゃりと締め付けられる指を慣れない手つきで動かす。
花芯を撫でる指は徐々に大胆になっていきバーナビーは自らの手でくちゅくちゅ、とはしたない音を響かせた。

『やらしい音聞こえてる、バニー』

「んっだって、止まらっな、」

聞こえているはずないのに、もしかしたら、と思ってしまう。
それほどに止むことなく水音がぐちぐちと鳴っていた。
眉を官能的に顰めながら、きつく目を閉じる。
自分でどうにかなってしまうなんて、そんなの嫌だ。そう思う半面で、華奢な指は止まらないし、びくびくと腰が浮いてくる。
熱に浮かされたように、ひたすら虎徹の名前を呼びながら求めた。
そうすることでバーナビーの快感は高まっていく。
溶けてしまいそうなほど、とろとろになった指先で器用にいいところだけを何度も何度もなぞった。

「こてつ、さんっ、んっやぁ、んっど、しよ・・・」

『んー?どうすんのバニーちゃん?』

「ゃ、や、だっ・・・い、ちゃう・・・いっちゃうぅっっ」

足先にぎゅっと力が入り、すべての神経が集まったかのように花芯が敏感になった。
うわ言のように訴え続けると、電話口の甘い声に名前を呼ばれる。
それをきっかけに、バーナビーは肩を大げさに揺らしながら内にこもった熱を手放し、自らの手で達した。




はあはあと肩で息をしながら、横にごろりと寝返りを打った。
知らない間に全体がしっとりと汗ばんでいて、寝転んでいた脚や臀部の裏側は汗やら何やらでぐっしょりと濡れていた。

『どうだった?』

気持ち良いか悪いかで言えば、たしかに気持ちよかったはず。
けれども今はべたついた身体やふやけてしまった指先に嫌悪感しか湧かない。
息を整えながら、近くにあったバスローブで適当に汗を拭った。
まるでセックスの後のような肌の湿り気なのに、気怠さは比べ物にもならない。

バーナビーはお互いを求め合う行為と同じぐらいに、その後のベッドの上でのふたりの時間が好きだった。
たしかに電話での虎徹の声に興奮はした。肉体的な快感も得た。
けれども、こんなことしなければよかったと後悔するほどに空しい気持ちに陥る。

「・・・こんなんじゃ満足できません」

『あらあら、もしかして余計に俺が恋しくなっちゃった?』

そうです、と答えようと思ったと同時に
タイミング悪くドアからノック音が響いた。

「すみません、誰か来たのですぐにかけ直します。アニエスさんかも」

『おーわかった。待ってるなー』

力の入らない体をゆっくりと起こしながら、バスローブを適当に羽織る。

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