猫と光



名前が倒れた次の日の朝早く、先に目を覚ましたのは京楽の方だった。
窓の外を見ると相変わらずの低くて暗い雲。
幸い、雨はやんだようだった。
だが、名前は相変わらずぐっすり寝ていて、まだ起きそうにない。
最初に見たような幸せそうな寝顔では無かったが、頭が痛いと訴えた時のような苦しそうな顔もしていなかった。
だが昨日と同じようないかにも具合の悪そうな顔色を見ると、京楽がつい最近浮竹に言われた「死んだように」眠るというのは此の事なのだろうかと思ってしまう。
つい無意識に京楽の方まで顔をしかめてしまう。

『きみは誰なんだい?』と初めて会った時に尋ねたときは、寝ていた筈なのにまるでその声を聞いて目を覚ましたかの様に、直ぐ目をさました。
『はやく良くなると良いねえ』と言った声は聞こえているだろうか。

ずっとそうしても仕方ない。
始業時間には早いからまだ七緒は来ていないので、何時起きるか分からない名前のもとを離れる事は出来ない。
気分転換に窓でも開けようと立ち上がるが、長時間の無理な体勢で体がぎしぎしいった。
長椅子に名前を寝せて、そのすぐ脇で様子を見ているうちにいつの間にか寝てしまっていたのだ。

「あいたたた…」

背伸びをしたり肩を叩いたりしながら窓を開けるた。
相変わらず今日も少し肌寒い。
桜が生える例の丘を見ると、まだ花は残っているものの、若干散ってしまったように見えて残念な気持ちになった。
だが反対側の空を見ると、厚い厚い雲の隙間から少しばかり太陽の光が差し込んでいてホッとした。
窓枠に腰掛けて、未だ起きない名前を見ながら心の中でそっと「よかったね」と言った。

「うう…」

「…?」

起きたかと思えば、身じろぎしただけだった。
昨日からずっと運んで長椅子に下ろした時のまま、まっすぐに仰向けの格好のまま寝ていたが、ようやく最初に見た時のようにころんと丸くなった。
七緒が来てこれを見たら、きっと昨日の言葉に理解を示してくれるだろう。

「はやく、良くなると良いねえ…」





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あああ、すいません、前ページとの都合上今までにあるまじき短さで切りました。
「あれっ、短い」って思った方すいません。
短編じゃないです。収納場所間違ったとかじゃないです←



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