∴天馬世代
∴時代錯誤パロだけどいつの時代だろうか…。
∴天→←葵
∴天馬→大名の息子
∴葵→貧しい町娘
∴暗い?
∴殴り書きゆえに解釈は御自由に。
天馬は一人、雪降る中ぽつりと庭で立ちすくんでいた。はぁ、と息をつけば既に白く寒さが厳しくなっていっているのだなぁ、と実感した。両手を擦り合わせ暖をとろうともなかなか暖かくならず眉間に皺を寄せる。
暖かくならないのなら、そのままでいい。こうして麻痺して、感覚をなくして、この世界に生きている感覚さえも、なくなってしまえば、きっと。目を瞑り静かに考えた。何故俺はこの一族に生まれたのか、何故自由ではないのか、何故否定されなくてはならないのか。
「天馬様!何をしてらっしゃるのですか!風邪を引いてしまいますわ!」
ふと目を開けば、屋敷の方から駆けてくる娘がいた。天馬の許嫁だ。娘には悪いが許嫁など天馬にとっては邪魔者以外何者でもなかった。許嫁など、いなければ、葵と。昔交わした葵との約束を一番に叶えたかった。
「天馬様、早くこれをお掛けになって…。」
「あり、がとう…。」
そって娘から差し出された綺麗な襟巻きを握り締める。葵も同じ事をしてくれた。自分の方が寒いのに、首に巻いているお世辞にも綺麗とは言えない薄い襟巻きをほどき差し出さしてくれるのだ。そしてすまなそうに眉を下げ笑う。こんなのでごめんね、天馬には合わないよね、と。そう言って天馬の両手を自分自身の両手で包み、少しはましかな、と暖めてくれる。それは何よりも暖かくて。
「さぁ、お屋敷に戻りましょう?」
(よし!ボロ家だけど家おいでよ!)
「風邪を引いてしまいますわ。」
(風邪引いちゃうからもん。流石に外よりもましだと思うよ。)
「温かいお茶を用意させますわ。」
(えーっと…白湯しかないんだけど…大丈夫?)
「…天馬様?」
葵、葵、葵、葵葵葵…。
もう会えない。
会いたい。
どうして。
君を抱き締めて。
幸せになりたかった。
気がつけば頬に暖かな雫が伝っていた。
(なんで)(同じ想いなのに)
かなわない