力を消耗して倒れてしまったエレナを休ませるためにしばらくアーガス城にお世話になることになった。
そして、エレナが眠り始めてから1日。
あいかわらず彼女は眠っていた。
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眠っているエレナは前のように顔をしかめているわけでもなく、ただすやすやと寝息をたてて眠っている。
その様子をルーネスがじぃっと見つめていた。
そして彼女の頬かかった髪を払ってやる。
「…」
今は真昼間で、カーテンの隙間から光が漏れて彼女の髪に反射していた。
「はぁ…」
じっとエレナを見ていたルーネスはため息を吐いて彼女が寝ているベットに頬杖をつく。
彼女が前みたいにうなされていないのは喜ぶべきことなんだろう。でも…
「やっぱ、早く起きてほしいよなぁ…」
こんな風に思うのはやっぱり良くないんだろうか?
欲張ってはいけないんだろうか…。
それでも、そう思わずにはいられないのだ。
そうもんもんと考えていた時、何かがそっと手に触れた。
それはエレナの手。
「…ん」
そっとルーネスが手を握る。
するとエレナが少し微笑んでまた幸せそうに寝息をたて始めた。
その幸せそうな顔をルーネスはしばらく見つめる。
それからそっと立ち上がってエレナの瞼に口付けた。
―どうか、早く目を開けて。
そう想いを込めて。