次の町への買い出しをしていたときのこと。
いつもの通りルーネスはやっぱりエレナと二人で出ていって、後は別々に行動していたのだが、たまたま武器の調整を待ってる間にぶらぶらしていると、ルーネスを見かけた。
荷物を持って一人で立っているとこを見るとおそらくエレナを待っているのだろう。せっかくなので声をかけようとすると、俺より先に見たことのない女性が彼に声をかけた。
「なにしてるんですか?」
どうやらルーネスの知り合いでも無いようだ。思いっきりルーネスの顔に出ていた。
「えっと…連れを待ってるんですけど」
「そうなんですか。荷物重そうですねぇ」
「えぇ、まぁ」
「良かったらそこの店で休みませんか?私常連なんでおまけしてくれるんですよ」
あー、これはあれだ、逆ナンというやつだろうか。
確かにルーネスはわりとイケメンの部類だ。女性としてもほっとけないだろう。
まぁ、ルーネス自身がそれに気づいてるのかは微妙だが。そもそも気づいていたとしてもついてはいかないだろう。
案の定ルーネスは困ったように、連れが来てないんでと繰り返して断っている。
しかし、女性のほうもかなりしつこくつきまとっていて、しかたなく助けてやろうとした時、肩を叩かれた。
「イーングズ、何してんの?」
「あぁ、レフィアか。いや、ルーネスが…」
ルーネスの方を指差すと、レフィアもつられてそっちを見る。それからにやっと笑って言った。
「あれなら、大丈夫よ。まぁ見てて」
「大丈夫…なのか?」
「もしかしたら面白いものが見れるかもよ」
そうこうしているうちに女性はますますルーネスに言い寄る。さすがにルーネスもうざそうな顔をしていたその時、
「るーねすっ!!」
ルーネスの連れが現れた。
「エレナ!!」
助かったと言わんばかりの顔でルーネスも彼女に近寄る。
そして、今までしつこく付きまとっていた彼女はと言うと…
「ね、わ、笑えるでしょ…!!」
「そ、うだな…っ」
思わず笑ってしまうほどぽかんとした間抜けな顔をしていた。
おそらく女性の方は自分の顔に自信があったに違いない。しかし、エレナは化粧で着飾った偽りの美女とは比べ物にならない天然美少女だ。ナンパしていた相手の連れが自分より綺麗だった時ほどいたたまれないものはないはずで予想通り、恥ずかしさと怒りで女性は真っ赤になる。
そんな彼女の様子なんか気にも止めずに相変わらず甘い会話の二人。
「ごめんなさい、混んでて…。荷物重かったよね…」
「これぐらい平気に決まってるだろ?それよりエレナは大丈夫なのか?」
「紙袋は大きいけど中身は軽いから大丈夫だよ」
そこまで話した後やっとエレナが後ろで震えている女性を見た。
「あの人誰?」
「さぁ…しつこくお茶に誘ってきたけど、正直うざくて…だから助かった。ありがとな」
そう言ってエレナの頬に軽くキスすると、少し不機嫌そうな顔で女性を振り返るルーネス。
「連れ、帰ってきたから今ならいいけど。行く?」
「い、いいえ!!けっこうです!!」
引き立て役にされてはたまったもんじゃないと逃げるようにその場を立ち去った女性を見て俺らはもう笑いをこらえることができなかった。
だってお姫さまなんだもん
一般人はお断り!!
(「あ、イングズとレフィアだ」)
(「ほんとだ。…なんで笑ってんだろう…」)
無敵バカップルwww
お題サイト様↓
魔女のおはなし