どうやらいつの間にか寝てしまったらしくバスの揺れでゆっくりと目が覚めた。
身体の体勢をなおそうとすると左側の肩に少し重みを感じた
「…あ」
つい声がでた
心臓の音がドキドキと音をたてて耳の奥まで響いてくる
俺の左肩に寄りかかって寝ている椿の顔をじっと見つめてみる
この顔を独り占めしたい。時々そんなことを考えるときがある
勿論そんなこと口にだして言えるわけないんだけど、思わず苦笑いをした。でも願いが叶うなら…せめて…椿の頭に自分の頭をゆっくりとのせた…今だけでも、なんて。
ゆっくりと目をとじた
選手たちを乗せたバスがクラブハウスへと到着するとズラズラと選手たちは出口へ向かっていった。
丹波がふとあるものを見つけて後ろを歩いていた赤崎に声をかけた
「赤崎、赤崎」
「なんすか」
めんどくさそうに丹波が指さしたほうへ目線をやると肩を上下に動かしながら眠っている椿と宮野がいた
「仲いいよなぁ本当」
「…っすね…椿ほらついたぞ」
赤崎が椿を揺さぶると丹波も前から起きろーなど笑いながら声をかけていた
(王子様は二人いた)