「それ、やめてよ」
「え?」
目の前でバッキーとセリーの会話を聞いていてセリーが立ち去ったあとバッキーをみたら無性に嫌気がさした。誰にでも媚売って尻尾振って吐き気がする仮にも僕の犬なんだから飼い主以外には噛みつけばいい。
だらしない顔なんて笑ってやると恥ずかしいのか顔を赤くした。
「…どういう意味…っすか?」
よくわからないといったような顔で僕の顔を見つめるバッキーは本当に犬って名前が似合うもんだから笑ってしまう。
「…ザッキーは番犬なのにね」
ザッキーの名前をだすと真っ赤だった顔がサーっと青ざめて本当に面白い勿論わかってて名前をだすんだけどね
「お…王子は…」
珍しく反抗でもしたい気分なのか口をひらいたバッキーの唇の前に静かに右手をかざす(待て)勿論口にはしてない。それなのにまるで聞こえていたかのようにバッキーは静かになった。
バッキーは僕の犬、勿論ザッキーだってそう僕の犬が他の誰かと戯れてるのを見たらそりゃあ嫌な気分になるのは当たり前でしょ?僕は飼い主、バッキーに初めから拒否権なんてものはない。
かざしていた手をさげるとバッキーは少し悲しそうな顔をした。
仕方ない。なんて本当に自分は甘い飼い主で思わずため息がでそうになる。
「どうしたの?大介」
犬の意見は聞かないけど恋人としてだったら聞いてあげるよ、恋人には優しくがモットーだからね。ふわりと笑うと大介は足を一歩だし僕に近づいてぎゅうっと抱きしめてきた
「…お…俺は…王子にしか…こんなことしないっすから」
心臓の音が聞こえて抱きしめられた身体が熱い、片手で大介の頭を撫でてやると嬉しいのか抱きしめていた腕の力がふにゃりと抜けた。
こうも簡単に許してしまう自分は本当に甘い。でも甘くさせるほど好きにさせたのは大介のわけで…まぁ大介が犬の時くらいわがままいってもいいでしょ?
首筋にひとつキスをおとしてやった。
首輪のかわりにキスマークを