小さい頃からサッカーばっかりだった。
もともと人と話すのは得意なほうじゃないし思ったことを言うのも苦手なほうだとは自分自身が一番よくわかっていた。だからなのかこれと言って浮いた話もなく今まで過ごしてきた。
正直友人達の恋愛話にはイマイチ共感ができなくていつも適当に相づちをうっていたし今でも恋愛という気持ちがなんなのかイマイチわかっていなかった。
「俺、お前が好きなんだけど」
二人しか居ないロッカールーム
真顔でサラリとザキさんが俺に言ってきて最初は何を言っているのかわからなくって頭がぐるぐるとザキさんの言った言葉の意味を調べて理解したときには既に顔が真っ赤な自分がザキさんの目から映って見えた。
じっと俺の顔を見つめるザキさんがいて何故だか逃げ出したくなったのに身体が動いてはくれなかった。
何も言わずにただ俺を見つめるザキさんを見てどうしていいかわからなくなった。
第一ザキさんが言った好きってどういう意味なんだ?それは恋愛として?チームメイトとして?チームメイトとしてだったらそれは本当に嬉しい。俺みたいな性格、きっとザキさんだったらイライラしてしまう筈なのに、そう言ってもらえて…じゃあ恋愛としてなら?…それは
「…わからないっす」
はぁ?と納得いってないような顔でザキさんが俺の顔を見てきたものだから俺は思わず顔を背けた
「何それ、嫌いなの?」
嫌いな訳ない。
首を横にふるとため息をつかれて思わず身体がびくりと動いた。
「じゃあ何?」
「…わかんないっす」
嫌いなわけない、けど今まで感じたことのない気持ちで心臓が押し潰されそうだった
ダンっと俺の真後ろの壁から大きな音がたって目の前が少し薄暗くなったものだから恐る恐る顔をあげると壁に両手をついたザキさんの顔が目の前にあった
「これでも…わかんないの?」
心臓が飛び出すんじゃないかと思うくらい勢いよくなっているのがわかって、でもどうしていいかはわからなかった。
何故だかザキさんの顔を見てられなくて下を向こうとしたとき、いきなり頭を捕まれたと思ったら目の前がザキさんでいっぱいになってキスされているんだと気付いた
はじめての感覚に戸惑いながら息の仕方がわからなくって苦しいと感じる直前にザキさんが唇をはなした
「…悪い」
そう言って置いてあった鞄を手に駆け足気味でロッカールームを出ていったザキさんを俺は只見つめることしか出来なかった。
ペタリと床に座り込むと先ほどのことを思い出し顔が熱くなるのがわかった。
心臓の音は相変わらず激しくなっていて、恥ずかしい気持ちとどうしていいかわからない気持ちでいっぱいいっぱいだった。
ザキさんは先輩で…それで…唇に自然と手が触れる…不思議と嫌だとは思わなかった。
もしかしたら、この気持ちは
end ?