なりたかったのはヒーローなのかも知れない。

「…ザキさ…ん?」
椿の声でハッと目が覚めた。
「わりぃ…寝てた。」
身体を起こすとなんだか不思議な感覚に陥ってた。ふと椿を見ると何故かわかんないけど今にも泣きそうな顔をしてるからとりあえず頭を撫でてやるとそっと俺の左頬に触れてきて、そこでやっとこの感覚がなんなのかがわかった。
「大…丈夫っす…か?」
そんな泣きそうな顔で心配されたら大丈夫としか言えないだろ、なんて言葉をのみこんで「まぁ」と返事をすると安心したのか軽く息を吐いていた。
悪い夢でも見ていたようで、でもそれが何だか思い出せなくて、違う…思い出さないようにしていた。
「つばき」
こんなこと考えるなんて自分らしくない
「…お前、何で俺なの?」
こんなこときいて何か変わるわけがないし誰かが得するわけでもない。別に気になってるわけでもない…それなのに聞かずにはいれなかった。
「え?え…え…っと」
一瞬慌てた椿が目線をそらしながらぼそぼそと呟きだした。
自分の心臓の音がうるさくて椿の声が聞こえないんじゃないかと不安になる
「…ザキさんは…その…確かに恐いとこもある…かもしれないっすけど…自分の意見を…その…はっきり言えて…俺にはないものを持っていて…その…えっと」
ごにょごにょと顔を真っ赤にする椿を思わず抱きしめると珍しく何も言わずに俺の後ろに手をまわしてきた。
「ザキさんのそう言うとこが俺は好きです。」
見透かされていたようで何だか急に恥ずかしくなり思いきり抱きしめると椿が少し苦しそうに息をもらした。
間違ったことを言ったつもりは今まで一度もない自分の中で最前を尽くしてきたつもりだ。うまくいかなくてイライラすることだってあった…それでも…勝ちたいって気持ちがあったからここまでやってきた。
嫌気がさした。とか言って目の前から居なくなっていった奴らも多いし独りで行動することも多かった。それなのに、
「メンバーの皆もきっとそう思ってますよ」
「…どうだか」
椿の言葉が嬉しくて口元がゆるんだのが自分でもわかっていた。

















要は小さい頃から良かれと思って言った発言や行動で周りから浮いてたザキ→別になれてる(本当は傷ついてたりもする)→ETUのメンバーは皆わかってますよ。みたいなことです(*_*)わかりづらくてすみません


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