「ごめんね遼にい」
自転車を漕いでる俺の腰に手をまわしながら大介がぽつりと謝ってきた。
「……別に」
どうせ帰る場所は一緒なわけなんだし問題ない
「もう一個は家にあるはずだから」
「ん、次のはキーホルダーかなんかつけるようにな」
「そうする」
自転車の鍵を落としたと大介から電話があったのはほんの少し前。いそいで駐輪場に向かいお互い予定もなかった為そのまま大介を後ろに乗せる形で家に帰ることにした。
そう言えばこうやって二人乗りしたのはいつぶりだったっけ…そもそも大介が高校入学の為に東京来て…その時点で5年ぶりくらいの再開だったはずだから…少なくともそれより前だったのはわかる。小さい頃は年がひとつ違うだけで体格なんかにもだいぶ差があったけど今じゃ目線も俺とほぼ一緒でなんだよなぁなんてしみじみ思ってみたりして…ふと、あることを思い出しブレーキをきって自転車をとめると後ろから不思議そうな声で大介が俺の名前をよんできた。
「大介、ちょっと降りて」
「え?うん」
素直なとこは昔から変わらない。
大介が降りて少し軽くなったのを確認してから俺も自転車から降りて歩きながら自転車をおすと後ろから大介が小走りで追いかけてきた。
少し歩くと目の前にお目当ての店が見えてきて大介が何かを思い出したかのように「あ」と声をあげた。
「ここ…」
「懐かしいよな」
俺自身もだいぶ久しぶりだったが小さい頃大介が東京にくる度に二人で遊びにいった駄菓子屋。今も営業していて店の中には何人かの子どもの姿があった。二人とも自然と足を踏み入れる。店の中はほとんど変わってなくって変わったと言えばみたことのない駄菓子がちらほらとあっただけだった。
「あ、遼にい見てよ。これ懐かしい」
なんて昔大介がよく食べていた駄菓子を手にして俺に見せてきた。
いくら背が伸びようと大介の笑った顔は昔のまんまで、何故だかわからないけどそれが無性に嬉しかった。
何点かの駄菓子とレジでみつけたあるものを買って近くにある公園によった。そういえばここもよく二人で遊んだななんて懐かしい思い出が蘇る。
大介が買ったばかりの駄菓子をあけて中身を取り出すと俺に渡してきた
「サンキュ」
受け取って口の中にいれる…最後に食べたのはいつだっただろうか…いつの間にか暗くなりだした景色を眺めながらぼーっと考えた。
「ねぇ遼にい」
「ん?」
沈黙をやぶるかのように大介が口をひらいた
「……いつまでも…その……俺と一緒に…いてくれる?」
いきなり突拍子もないことを言い出した大介の顔を見ると何とも言えない不安そうな表情になっていた。
「……当たり前だろ」
口にするのは恥ずかしいし、なんかカッコ悪い気がしてあんまり言いたくないけど…俺が答えて大介が笑うならまぁいいかとも思う、ほら笑った。
「そうだ、大介」
忘れるとこだった。まぁ今じゃなくてもいいんだけどさ…さっき買ってポケットに突っ込んどいたものを大介に渡すとチリンと音がなった。
「あっ」
大介がサッカーボールの形をした鈴を片手で持ちじーっと見た。
…いや確かに安っぽいだろうけどさ…鍵につけとけば落としても音で気づきそうだし探しやすいだろ、なんて何も言わない大介を見ながら頭の中で勝手に説得した。しばらくすると大介がうつむいた
「……遼に…い、ありが…とう」
……なんでいきなり泣くんだよ。
本当いつまでたってもすぐ泣くとこだけはなおんねーな。なんて、でもなんだかそれが妙に嬉しかった。








「遼にいー遅刻するよー」
「あー…はいはい」
「早くしろってば」
「いいよ、お前先いけ…あ、そっか。ちゃんと鍵持ったか?」
「ん?勿論」

チリンと鈴の音がした。
















ひかる☆様
ありがとうございました(*^^*)
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