時計の針はとっくにてっぺんを過ぎていたけれど監督の提案で二人で歩いてコンビニまで向かうことになった。
監督がクラブハウスに住み込むようになってからセキュリティはだいぶ軽くなったらしく外へは案外簡単にでれたが、もし帰りにセキュリティがなったらどうしようという不安とあまり機会のない監督との外出(とは言っても近くのコンビニだけど)に俺の心臓はドキドキしっぱなしだった。
付き合っているとはいえ仮にも監督と選手という間柄、会うのは練習の時と監督の部屋でが大半…大げさかも知れないけどまさか二人っきりで外を歩く機会があるとは思ってもみなかった。
「つーばーき」
いきなり名前を呼ばれて肩がびくついたのが自分でもわかった
「なっ…なんスか監督」
「…べつにー」
そう言いながら俺の右手と自分の左手を絡ませてきた……手繋いだのも初めてかもしれない…嬉しくてでも恥ずかしくてどうしていいかわからず握られた監督の手を強く握りかえした。
「椿ってさ、俺のどこが好きなの?」
「え?」
「……いや、ほら俺ってあれじゃん、お前と年齢も離れてるわけだしさ、どこかに連れてくこともしないし……なんで俺だったのかな……なんて」
監督の声がなんだか寂しそうに聞こえて、自然と自分の視界が霞んできてるのがわかったけれどそれが監督の為じゃなく自分の為だというのもわかった。
なんだか自分の監督に対する気持ちを疑われてるように感じてしまって…なんて自分は小さい人間なんだろう…きっと今監督が俺のことをみたら「ごめんな」って謝るんだと思う、監督は悪くないのに…
「おっ…おれ…は…」
涙が溢れないように、声が震えてると気づかれないようにゆっくりと口をひらいた
「かんと…くが……かんとくの…すべてが…すき…な…ん…です…。」
だから監督こっちを向かないでください。握られていた右手を話されて気付いた時には監督の肩に顎をのせている状態だった。
「意地悪いった。ごめん。」
結局謝られてしまった。
それでも監督は強く俺を抱き締めてくれてそれが嬉しくて涙がとめどなく溢れてきていた
「……かん…と…く…好き…で」
精一杯自分の気持ちを伝えようとするがうまく呼吸ができない。監督が俺の背中をさすりながら落ち着けと声をかけてくれた。
「……俺もさ、お前のこと好きなのよ」
「……ウス」
「でももう俺歳じゃん?…だからさ」
心臓の音が2つ
「お前が最後のつもりだから覚悟しろよ?……死ぬまで離してやらないから」
嬉しくて恥ずかしくて初めて自分からキスをした


















『お騒がせETU!監督と選手の禁断の愛』
モノクロページの見開き、写真は誰がみても俺と椿……最近は記者も暇なのかね、わざわざ掲載雑誌まで送ってきて…まぁ平和な証拠か…さて有里たちが出社してきたら何言われるのかな…そして愛しの恋人はどんな反応してくれるのかな、顔のにやけが直らないまま自分の部屋のドアをあけた





「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -