この間の試合のビデオを見ていた監督が何か思い付いたのかにんまりと笑いながら俺に言ってきた
「椿、ゲームしない?」
「……ゲームすか?」
「うんゲーム。簡単だよ今からこの試合が終わるまで嘘しか言っちゃ駄目」
「嘘だけっすか?」
「そ、今日エイプリルフールみたいだし丁度いいんじゃない?……はいスタート」
否定する間もなく監督によるゲームが勝手にはじめられた。
嘘しか言っちゃいけないっていっても気をつけてれば大丈夫なはず、
「あ、因みに罰ゲームはないから」
「え」
監督にしては珍しい、でも少し肩の荷がおりた。今後半39分で確かこの前ロスタイムは2分だったから……約5分、うん大丈夫。あ、世良さん惜しい
「ここ惜しくないね」
え?あぁ嘘つかなきゃいけないんだっけ……ややこしいなぁ、やっぱり。嘘というか逆さ言葉みたい
「えっと…そうっスか?」
「ここはもっと後ろに…」
こんなときでもちゃんと試合のこと考えてるんだよなぁ余裕があるというかすごいというか、後ろってことは前に、かな?
「ねぇ椿」
「?」
「俺のこと好き?」
「え」
いきなり突拍子もないこと言うもんだから顔あかくなってるんだろうなぁ…熱い
「教えてよ」
「……す……」
あ、いけない嘘つかなきゃなんだ……好きだから嫌いって言わなきゃ……嘘ってわかってるのになんだか言いたくない、でも言わなきゃきっと嫌われる
「椿?」
「……好き」
ピッピー
試合終了の笛がなった
「……はいゲーム終了」
「あ」
「椿俺のこと嫌いなの?」
「そ…そんなこと」
「だって好きって」
「それは……」
「嘘つけなかったの?」
「……ウス」
「じゃあ罰ゲームね」
「え?」
「だって嘘つけなかったじゃん」
「え、だ…だって監督罰ゲームはないって」
「嘘だもん。だってゲーム開始した後に言ったじゃん俺」
「ず…ずるいっす」
「ずるくないー」
「そんな……」
「まぁまぁほら今日エイプリルフールだし」
監督にぎゅっと抱きしめられた
「椿、俺好き?」
「……好きっす」
「うん、俺も……あ」
「?」
「パッカくんのが好きかな」
「え」
「嘘。いじけないいじけない」
「……意地悪っす」
「エイプリルフールだから、さぁてと罰ゲームなににしよっかな」
にやりと監督が笑った。
「…考えてなかったんすか?」
「まぁねー椿が思ってたより面白い反応してくれたからねぇ」
「……っっ」
「顔真っ赤」
「……気のせいっす」
「あ、罰ゲーム決めた」
「…なんすか」
「今日はもう嘘ついちゃ駄目」
「…………はい。」












嘘というか反対言葉?
エイプリルフール話でした
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