言葉にしたらいけない気がした。


初めは恐いイメージがあった。
ひとつ上の先輩でよく舌打ちをしててなんだか話しかけづらいオーラがあったし、もともとあまり人と話すことは得意じゃない、出来ることならあまり関わらずに生活できたらいいなとさえ考えていた。
でも、同じチームましてや年齢だって近い、関わらない。なんて無理に決まっていた。なるべく怒らせないように気をつかったりして(まぁ気をつかえばつかうほど怒られてた気もするけど)少しずつだけれども話せるようにはなっていたし1ヶ月もすれば苦手意識は薄まりつつあった。ある日たまたまザキさんと2人で食堂で飯を食うことになった。
なれてきたといってもまだ2人になると少し不安だし怖いと思っていた。
案の定うまく話せなくってしどろもどろしていたらザキさんが「なに」って機嫌悪そうな顔で聞いてくるものだからテンパった俺は「ザキさんと何話していいかわからないんです」なんて思ってたことを口にだしてしまった。
しまった。と思ったのもつかの間ザキさんの顔は俺が想像していたのとは違っていた。目を真ん丸くさせて俺を見つめてきて不思議と怖くなくて俺もザキさんのことをみつめかえした。
「……お前本当馬鹿なの?」
なんて拍子ぬけた声で俺に話してくるもんだからどうしていいかわからなくなってしまった。
「だだだ、……だってザっザキさんですし」
なんてまた前から思ってたことを口にしてしまうと俺のおでこに少しの痛みがはしる。目の前をみると右手を自分のほうへ戻すザキさん。あれ?今のって…でこぴん?
「普通でいいんだよ普通で」
初めてみたザキさんの笑顔がしばらくの間頭から離れなかった。

それからは一緒にいることが増えた。

意外と甘いものが好きだったり、マイナーな邦楽洋楽が好きだったりと知ることが増えるにつれて俺の頭の中はザキさんでいっぱいになっていった。
あぁこれが好きって気持ちか、なんて考えがまるで他人事のように頭の中を巡っててこの気持ちがが恋だと気づくのに時間はかからなかった。
日に日にザキさんに触れたいとかもっと一緒にいたいって思いが膨らんでいって頭の中はパンク寸前だった。
それでも言葉にしたらいけないと思った。
勿論俺がチキンだからって理由もある、でも何より俺が男だから…このままでいいと思ってた。

そんな風に考え出してから無意識にザキさんをさけていた。

これ以上好きにならないように
これ以上いっぱいにならないように
「今日のみいこうぜー」
丹波さんがロッカールームで皆に話しかけていてその中には勿論ザキさんもいて…俺も誘われたけどやんわりと断りをいれた。
そそくさとロッカールームをでようとした瞬間右手を誰かに捕まれた
「っわ……」
「あ、悪い」
犯人はザキさんだったようでぱっと手を離された
「お前いかないの?」
「え?」
「のみ」
「え…えっと…今日は用事が…はい」
なんてはぐらかす。構わないで構わないで
「ふーん……丹さーん。すみません俺このあと用事あったの忘れてたんで今日は不参加で」
ザキさんの発言に耳を疑った
丹波さんのブーブーいいながらもデートデート?とからかっている発言がなんだか遠く感じて
「行くぞ」
再度ザキさんに腕を引っ張られてロッカールームから廊下にでた
「ザ…ザキさんどうして…」
廊下をしばらく歩いてやっと口にできた言葉。手はまだ強く握られたまま、歩いてた足を止めてザキさんが俺の顔を見る。
「……俺は、お前がいなきゃつまんないから……だって俺」



ザキさんの言葉が終わる前に
言えなかった言葉を口にした



















書き方少し
変えてみたもの。

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