「綺麗だね」 走っている車の助手席の窓から外の景色を眺めた。夜の真っ暗に車のライトやビルの光が輝いていて、そのまま思ったことが口に出た。 「そうだね、でも、君の方が」 「ちょ、ちょっと、いいからそういうの。」 「ふふ、そういうの…ってなんだい?」 「だからあ、いつもよく言うけど、あんまり私のこと褒めすぎなくていいから!」 「いいじゃないか、思ったこと言ってるだけなんだから。」 「もう…」 「それに、先にロマンチックな事言い出しのは君の方だよ?」 「それこそ、思ったこと言っただけ!」 「じゃあ、僕にも思ったことを言わせておくれよ。」 「……………」 「もう着くよ。」 「……………………」 「………………………」 「……………………………」 「…はい、到着だよ。」 「…ありがとう。…じゃ、じゃあ…」 車から降りようとしてドアに手をかけた瞬間腕を掴まれたと思ったらもう遅い。 「もう帰ってしまうのかい…?」 「えっ、そりゃ、えっ、」 「君がロマンチックな雰囲気を作っておいて、さっさと帰ってしまうなんてひどいなあ…」 「そんなつもりはっ、!」 「…今夜は帰さないよ」 ベタな台詞とともに口を塞がれたらなんにも言えなくなった。 カヲルの腕の中で。 あんかをきっしょかわいい ×
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