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 混沌と宴の幕引き

「おーい。寝ちまったか……?」

エースの肩にもたれかかる名前の頬をつつく。ゴム人間であるルフィよりやわらかくて笑ってしまう。

「エースばっかずりぃ。代わってくれ」
「名前にキスしようとしてたやつが何言ってんだ」
「気のせいじゃねェか? ──あ、名前、起きたか」

いまだ焦点の合わない名前の目の前で手を振れば「さ、ぼ……?」と名前を呼ぶ。うん、かわいい。

「飲みすぎか? 水飲んどけよ」

エースがいつの間にか用意したのか水で満たされたグラスを名前に手渡す。こくり、こくりと少しずつ飲んでいくと、さっきより意識がはっきりしたのか起き上がる。

「ありがと、えーす」

ふにゃりと笑ったかと思うとエースの唇に自分のそれをくっつけた。おれたちは目を丸くして見合わせる。今まで酔った名前に会ったことはなかったが、もしかしなくても酔うとキス魔になるのだろうか。

「名前、おれには?」
「さぼも、ちゅー」

膝立ちでこっちまで来ると触れるだけのキスをする。これだけでも役得なんだがエースと同じなのは少し癪だ。離れようとする後頭部へ手を回して、舌で唇の境目をなぞればびくりと跳ねる。おかしくて笑ったらその隙にするりと逃げられてしまった。

「あぁ、もう酔ったのか」
「しゃんくす!」

姿を消していたもう一人の邪魔者が戻ってきた。
今のキスで怯えられたのか小走りでシャンクスの元へ駆け寄ると抱きつく。

「名前は酔うとキスしたがるのかわいいだろ?」
「知ってたんだな」
「まあ昔マキノさんとこでうっかり飲んで、な。──とりあえず」

少し屈んだと思うと舌をガッツリ絡ませたキスを始めた。合間で名前の声が漏れ聞こえて、エースなんかは真っ赤になっている。
名前の腰が砕けてもしっかり支えて逃さない。赤い顔が酒のせいか酸欠のせいか判別がつかなくなった頃、ようやく解放されてへたり込む。

「こうしておかないと、誰彼構わずキスし始めるからな。許せ」

ニッと笑ったその笑顔には、それ以外の理由があったようにも見えたが追及しないでおいたほうがお互いのためだろうと黙殺した。



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