女主 | ナノ


▼ こっちをみてね

すきすきすきだいすきあいしているの
あなたのことがせかいでゆいいつ、いちばん、いっとう、あいしているの
うそじゃなくて、ほんとうよ
なんだってしてあげるわ
あなたのしあわせは、わたしのしあわせ
だからおねがい、そばにおいてね
わたしのたいせつな、クルーク


でも私だって嫉妬くらいするわ。
クルークったら乙女心がわかってない。私がクルークを好きだってこと、知らないから当然なんでしょうけど、私だって女の子だもの。
最近クルークの口からは同じ人の名前しか出てこないの。

「あらレムレスコンニチワ」
「こんにちはナマエ。なんだかすごく威嚇されているような気がするんだけど、気のせいかな」
「気のせいだと思うわ。ところでレムレス、レムレスは5回ほど果物ナイフで腹部を刺しても死なないかしら」
「いや死ぬよ!?」

死んでしまってはだめね、クルークが悲しんでしまう。

「ナマエはなにをそんなに怒っているんだろう、僕は何か悪いことしたかな」
「いいえ、レムレスはなんにもしていないから悪くないわ。クルークが最近あなたことばっかり話すから、私はとてもいらいらしているだけなの」
「身の危険を感じる…」
「痛いことはしないわ。なんとかレムレスを気絶させて、ロープでぐるぐる巻きにしてきれいにラッピングしてからクルークにプレゼントするの。とても喜んでくれると思うわ。フェーリちゃんには悪いけど」
「喜ぶの!?」
「喜ぶに決まっているわよ。クルークと出会ってから1526日17時間34秒の今までのことなら、クルークのことはなんだって知っているわ」
「すごい愛だね…」

レムレスったら何を言っているのかしら。
好きな人の為ならなんだってしてあげたいし、その為には好きな人のことならなんだって知らないといけないでしょうに。
だってクルークの幸せは、私の幸せなのだから。
そのとき少し離れたところで私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
ああこれは聞き間違うはずもない、紛れもないクルークの声。なぜ私を呼ぶのかしら。

「クルーク?」
「どこに行っていたんだよ!いないから心配したんだぞ!」
「心配かけてごめんね。でもうれしいわ、ありがとう」
「べ、別に心配してたわけじゃない!いつも僕に着いてくるくせに今日は居なかったからたまたま気になっただけだ!それより、こんなところで何をしてたんだよ」
「今はレムレスを…あら?」

振り返ると、いつの間にかレムレスはもう居なかった。
一言声をかけてくれてもよかったのに。ラッピングしてクルークにプレゼントする計画はまた今度になってしまったわ。

「レ、レムレスだって…!?ナマエ、何で僕に黙ってレムレスに会いに行くんだよ!」
「あ…ごめんなさい、許してね。でもまだその辺にいると思うから、探しに行けば会えるんじゃないかしら」
「そういうことじゃなくてだな…!」

クルークの顔が赤い。もしかして走って探しにきてくれたのかもしれない。
とてもうれしいけど、疲れる思いをさせてしまって本当に申し訳ない。私ったらなんてことをしてしまったんだろう。
もしも嫌われたらと思うと恐怖以外のなにものでもない。嫌われちゃったらこれからどうすればいいのかしら。
クルークが真剣な顔をしてこちらに向き直った。

「ナマエは、その、僕のことよりも!レムレスが好きなのか!?」
「いいえ、全くそんなことはないんだけれど。どうしてそんなことをいうの?」
「ばっ…!な、な!」
「バナナ?」

「ナマエのアホ!鈍ちん!!いつも僕に引っ付きまわってる女の子が、僕のことを好きなんだと思わないわけがないだろう!?意識しないわけないだろう!僕だって男の子なんだぞ!」
「え、あら」
「勝手にどこかに行くんじゃない!ずっと一緒にいるんだ!」

「これは、告白なのかしら」
「そうに決まってるだろう!!」

クルーク、顔真っ赤。


「私も、クルークのことを愛しているわ」
「知っている!」


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