男主 | ナノ


▼ 一体なにが始まろうとしているの

「あなたがほしいっ!ですわ!」
「やめてくださいおれにそんな趣味はありませんごめんなさい」

散歩してたら魔女らしき格好をした女の子(格好からしてウィッチ族)に声をかけられた。
知らん知らん誰だこの美少女は。出会い様すごいこと言われたぞ。
人は見かけによらないというし、このコももしかしたら兄ちゃんと同類なのか?


「もとい、あなたの服がほしい、ですわ!」


同類だったー!!

服?服だと?
いまおれが着ている服は魔導師らしからぬ一般人が着るような服装であるがこの子はなんだってこんなものが欲しいんだ。
誰かに追われているから一般人のふりをして振り切ろうというのか?それなら普通女性に声をかけないか?
大体おれの服を貸したとしておれは何を着て帰ればいいんだよ。今この子が着ている服?無理に決まっている!!
スカートなんて履いて帰れるわけないし、そもそもこの子とおれは少なくとも20センチほど身長差があるだろうからサイズすら合わんだろう。
だとするとなんて断ればいいんだ!?


「意図がよくつかめないのです、が…」


必死に考え出したおれの返答はこれだった。いやだってわからん。
初対面の女の子にこんなことを言われて、すぐに応えられる人なんてうちの兄ちゃんもといヘンタイくらいしかいないだろう。
彼女はおれの答えがどうも不満だったようでふくれている。
すみませんわかりませんごめんなさい。

「おかしいですわね。あのヘンタイさんの弟だと聞きましたから、もっと面白い反応をしてくださるのだと思ってましたわ」
「弟?シェゾやドラコの知り合いなの?」
「ええ。アルルさんとドラコさんから、シェゾさんには弟がいると聞いて」


からかわれていただけだったのか!!!
というかアルル最近他人におれの話をしすぎではないかな!気のせいかな!!喜んでいいのかわからない!

「なんでもアルルが好きだとか」
「ウワアアアアアア前フリもなくいきなりそういうこというのやめてください誰かに聞かれてたらどうするんだよ!!」
「やかましいですわね!それでも男なの?安心なさいな。アルルさんがそんなこと存じてるとは思えませんし」

さりげなく罵倒された!このコ結構きつい!!
だけどアルルは恐ろしく鈍感なのでこの子の言っていることは信用していいだろう。
とかそういう問題ではなく、大方、いや確実に、このことを言ったのはドラコだろう。
女性は噂好きだというのを今ここで思い知った。
もうドラコには当分ギョウザをご馳走しない。してたまるか!!


「申し遅れましたが、私はウィッチといいますの。以後お見知りおきを」
「あ、どうも、ナマエです」
「知ってますわ」


なんか変わった子と知り合いになった。

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