男主 | ナノ


▼ 無理強いをしてはいけません

何故か俺が入部すると勝手に決めてはしゃいでる二人を問いただして、一体物理部が何をする部活なのか説明してもらった。
説明してもらったけどよくわからんかった。

「とにかく!俺は元々帰宅部のエースという素晴らしいポジションを得ている!物理部には入部しないからな!」
「帰宅部のエースってなろうと思えば誰でもなれるよね」

エロゲ主人公!それは余計なツッコミだ!と心の中で指摘しておく。
だけどどの部活にも所属する気がなかったのは本当だったし、前の学校でも俺は帰宅部だった。
運動は苦手じゃないが好きではないから運動部には入らなかったし、室内で何かをするなら家でゲームをしていたいと思うので文化部にも入らなかった。
そう、そもそも部活なんかに入れば家でゲームする時間が減るだろう?
ゲームに比べればどの部活動も全然興味なんかない。
幽霊部員っていうのもみっともないし、それなら入らない以外の選択肢はない。
なのでこれまでも、そしてこれからも入らないという予定だった。

「俺は入部しない!以上!帰っていいすか」
「そ、そんなぁ……ミョウジナマエくん、入ってくれないの?」

俺をここまで連れてきた時とはうって違って落胆した赤毛少女が聞いた。エロゲ主人公はと言えばむむ、と難しい顔(やはり鼻先から上は厚い前髪で見えなかったがなんとなくそう思った)をしながら黙ってその様子を見ていた。
そ、そういうのはずるいと思います!!

「だいたいなんで俺なわけ?」
「私、ご近所さんであるミョウジナマエくんともっと仲良くなりたくて……でもクラスが違うし……だから同じ部活なら一緒にいられる時間が作れるなあって」
「それで、僕もりんごちゃんの意見に賛成したってワケさ」

すっかりテンションの下がった赤毛少女の言葉に、いつも通りの軽い調子に戻ったエロゲ主人公が賛同した。
赤毛少女とは「お友達」で、確かにそれは仲良くするということだけど……これとそれは関係あるのか?

「で、でもわざわざ俺がぶつりぶ?に入らなくても近所に住んでるなら一緒に遊べるだろ?」
「……うー」
「……ナマエくんは一度りんごちゃんに対して居留守をしたことがあるよね」
「そ、そうだよ!だから私はミョウジナマエくんをあんまり信用することができないということなのだ!」
「今お前ら絶対口裏合わせただろ!」

確かにそんなことはしたけど!
そこまで、そこまでして俺を入部させたいのか!?全くワケがわからん!!


「ミョウジナマエくん……私たちと仲良くしてくれないの?」

悲しそうな顔でそう言われたら反則だと思う。
だけどここははっきり断らないとこんなわけのわからない部活動で過ごす時間は引っ越す前に中古屋で大量に買っちゃった積みゲーを消化する為に使わなければならないんだ!!
と思いながらも俺の口からははっきりのはの字も出なかった。
女子生徒にここまで頼まれてもなお、きっぱりと断れる男がいるだろうか。
その時、俺の背後にある扉の方からダンディな声が聞こえた。

「りんごくんにまぐろくん。無理強いはあまりよろしくないな」

み、味方!?先生か何かかな!?
やったーこれで勝つる!!

prev / next

[ back to top ]