そんな関係 | ナノ
雄福



やめろよ、雄二郎。否定の言葉を何度も口に出すが、本当に止めて欲しいという訳でもない。
何なんだ、それはと疑問を問いかけられたところで、『よく、わからねえ。』としか答えられないかもしれないが、俺と雄二郎はそれで良い。

いつからだろうか、この関係が出来たのは。別に、どちらからとはいえなくて、二人の思いというか、何かが共通したのであろうが詳しくは自分たちにもわからなかった。これが始まりだった。
周りから見れば、不思議に、不快に思う関係なのか、はたまた恋人同士に見える関係なのかなんて全くどうでも良かった。
自分達が幸せならそれで良いという考えがあるからか、周りを気にしなかった。

「んあ、もっと…!」

こんなに人を求めることなんて雄二郎以外にしたことはない筈だ。以前だって、すこし友達に甘えることで人を求めていたのかもしれないが、よりにもよって、何故雄二郎なのかは自分でも、よく分からない。


「何を考えているの。」

こんなに、上の空で続けていて不信に思ったのであろう雄二郎が話かけてくる。

「っ…ぁ、何でもねぇ、よ」

「んー、何でもないようには見えないけど、まあ…いいや。続けるよ?」

普段とは、正反対の嫌な笑みを見せる雄二郎が目に映り、

「やっぱ、あんたは嫌いっす」

なんて呟けば、

「俺は好きだけどなー?」
と意地が悪い疑問系で返された。
ふざけんな、何でそこ疑問系なんだよ。その言葉を相手に聞こえないように小さな声で呟けば、

「ん、だって福田くんは嫌いなんでしょ?」

聞こえていたのか返事を返してきた。小さな声で聞こえるとか、どんだけ地獄耳なんだよ、と喘ぎ声の中に隠す。それにしても、あんたが言っている意味が分からない。確かにあんたのことを嫌いと言った。
それが俺を好きということを疑問系で返すのは、どう接点があるんだ。
なんなんだ、あんたは。

「意味、わかんねっすよ」
素っ気無く返せば、雄二郎は俺を強く抱きしめてきた。
あー、うざい。あんたの心臓の動く音を聞いて、安心する自分も
そして自分があんたを支配したいと思う気持ちも、全てにうざくなる、吐き気がする。

「ばぁか。嫌いじゃねっすよ。嫌いな奴なんかに掘られて堪るかってんだ…」

俺に、こんなこと言わせるなんて後で、覚えておけよ。この言葉を添えて返答すれば、ハハッと苦笑しながら笑うあんたがいた。
その顔を見て、頬を抓りたくなって、にぎゅっと抓まんでやれば、
「いひゃいよ、ふくだくん」
情けない顔をするあんたがいて

「あんたはその顔が一番良いな、」

そう言いながら、この部屋を後にした。
また、あんたの間抜け顔がみたいからな。と心の中で呟いて、自分の担当である雄二郎の家を出た。

きっと、家に帰ってやることは、今まで遊んでいたせいで使った時間を返すために原稿をやるんだろうなと寒い外でバイクを乗りながら考えていた。
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テーマ「人外ファンタジー」
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